ジェットエアウェイズ、全便運航停止に!

ジェットエアウェイズ、全便運航停止!

インドの航空業界大手のジェットエアウェイズが、2019年4月17日から、全便の運航を停止しました。

元々、数カ月前から事業継続が困難な状況になっており、今年に入って以降は、航空機のリース料金の支払いが滞っているコトから、国際・国内線共に、運航休止などが相次ぎ、保有する約120機の機材に対して、約10機程度しか運行が出来ないと言う状況に陥っていました。

そして、銀行団からの緊急資金の調達が不調に終わったコトで、つなぎ資金を調達出来ず、運航停止に追い込まれた形になります(因みに、末期に飛んでいたのは、6機のみだったとのコトです)。

ジェットエアウェイズは、インド国内線ではIndiGoに続く業界2位。

国際線も東南アジアを中心に、香港・フランス・オランダ・イギリス・カナダと言った長距離路線も運航している航空会社。

自社運航での日本路線はありませんでしたが、ANAとのコードシェア便で成田に就航しています。

世界的なアライアンスには加盟していませんが、中東のエティハド航空が、24%の株式を保有しており、エティハドパートナーズのメンバーでもあります。

現状、運航再開に向けた動きはあり、今後、ジェットエアウェイズの売却に対して、入札が行われる予定ではあるが、国際航空運送協会(IATA)は2019年4月18日に退会になっており、不透明感がある。

そして過去11年で黒字になっているのは、2年だけと言う散々な決算内容なだけに、仮に運航再開にこぎつけたとしても、利益が出るまでに復活するのは、かなり困難な話なのだと。



成長するインド航空業界なのに…

インドの航空業界と言えば、2012年にワンワールド加盟目前にして、キングフィッシャー航空が全ての運航を停止すると言うコトがありましたが、それを上回る今回のジェットエアウェイズの運航停止。

2019年1月まで、4年以上の間、連続で2ケタ台の伸びを見せているインド航空業界の旅客数(2019年1月は9%の増加に留まった)。

それだけ急成長を遂げているのに、原油価格の高騰に加え、LCCの参入、運賃価格の下落、ジェット燃料に課せられる地方税の重さ…と言った条件も重なり、利益の確保が難しいと言うインドの航空業界。

そう言えば、国営のエアインディアの株式売却による民営化も、当初は2018年5月までに入札を実施して、エアインディアの76%の株式を売却する計画であったが、希望者がおらず、約8,000億円にも上る累積債務もあるコトから延期がなされて、今に至っている。

インドの航空会社は、どの会社も厳しい。

だが、特にジェットエアウェイズと同様のフルサービス型の航空会社が、厳しくなっている。

運賃がLCC並みに下落しているのにも関わらず、フルサービス型の運航をしているのだから、当たり前な話ではある。
他社との差別化による航空券代金を高止まりさせると言う戦略が描けていないと言う話なのかも知れないけれど。



エティハドは、大丈夫なのか?

それにしても…である。

インドの航空業界って、どうなのよ…と言う話以上に、エティハド航空が出資する航空会社って、どうなのよ…と(ジェットエアウェイズは24%をエティハドが出資していた)。

具体的にエティハド航空が出資する(していた)航空会社を挙げてみると…

・セーシェル航空…2012年に株式の40%を取得
・エアセルビア…2013年に株式の49%を取得
・ダーウィンエアライン…2013年に株式の33%を取得
→2017年にアドリア航空に大部分を売却
・ヴァージンオーストラリア…2014年に出資比率を21.24%に引き上げ
・エアベルリン…29%の株式を取得
→2017年運航停止
・アリタリア―イタリア航空…2014年に株式の49%を取得
→2017年に経営破綻し傘下離脱

こうして見ると、なかなか上手く行っていないのは、明らか。

特に欧州側の軸になるハズだったエアベルリンとアリタリア―イタリア航空の破綻の影響は大きく、2017年からは5カ年の経営再建計画に取り込まざるを得ない所にまで、追い込まれるコトに。

一時は、同じUAEのドバイをハブにしているエミレーツ航空が、エティハド航空の買収を検討していると言うニュースまで飛び出していた(両社共に、事業統合については否定している)。

ここまで出資企業が、経営難に陥ると、あまりにも拙攻だっただろうし、企業に対しての選定眼がなかったのでは…と言いたくもなってしまう。

だが、2019年には新しいターミナルが出来るアブダビ。

ここから反転攻勢に出るのかな…と思っていた矢先に、今回の、ジェットエアウェイズの運航停止。

この経営再建計画では、他社を含めた成長戦略を描いていたが、自社運航でのネットワークの拡充へと舵を切っているけれども、それでも、多少なりともの影響がある様な感じはする。

一時期の派手な路線展開は、もうしばらくは望めない感じがある。

ライバルとなるエミレーツは、まだ着々と路線網の拡大を続けているし、トルコ航空なども然りで、元々、後発のエティハドとは、ちょっと差が開くかな…と言う感じ。

サービスには提供のある航空会社だし、まだまだ底力を持っている航空会社ではあるけれども…ね。

 

それにしても、原油価格がやや高止まりをしている様な状態。

それをしっかりと価格・サーチャージに転嫁出来たり、原油価格に左右されない程の強い経営環境にない航空会社が苦境に陥ると言うケースは、これからも出て来る可能性が高いのかなぁ…

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