エリトリアとの国境に程近いエチオピア北部のダナキル砂漠。
アフリカの大地溝帯(巨大な谷間になっている)にあり、夏は気温が50度を超える、“世界でも最も暑いエリア”の1つとされる場所だ。
標高は海抜よりも低く、今でも活発な火山活動地帯で、活火山も多く存在している場所。
そのダナキル砂漠の中に、活火山の火口にまで行ける場所があると言う。
ツアーでなければ行けないが、その“ツアー世界で最も過酷なツアー”と言われているとか。
そんなダナキル砂漠に行ってみた。
まずベースキャンプとなる場所に到着した初日。
ってか、壁もなければ屋根もなく、単に簡易ベッドがあるだけなんだけれども、そんなベースキャンプからエルタ・アレ火山へと出掛けるコトに。
日没間際から登り始め、ソルジャーもいるし、必要最低限の荷物はラクダが運んでくれるので、楽。
そもそも“火山”と言っても、溶岩で出来た様な山で標高も613メートルでしかないので、傾斜もほとんどナイ。
やがて日が沈み、次第に見えて来るほんのりとした赤い空。
山頂であり、火口だ。
グツグツ。
グシャッ、グシャッ…
マグマが吐き出されては、また黒く変色して行く。
それは、絶えず繰り返され続く地球の営み。
それは、地球の神秘であり、地球のエネルギー。
横になってみる。
ほんのり大地が暖かい。
手を伸ばせばマグマに届きそうな距離なのに、“怖い”と言う気持ちが浮かんでこなくて、寧ろ、大地に包まれているかの様な印象すら覚えてしまう。
どんなコトバを探しても、どんなにキレイに写真を撮っても、この感覚は伝わらないんじゃないか…とすら思える程だった。
日の出前に火口に再訪。
少しずつ外が白んで行くけれども、マグマは相変わらず、波の様に火口に噴出している。
改めて思う。
こんな場所に、今、自分が立っているコト自体、不思議すぎる。
ちょっとでもマグマの噴き出しが大きければ、即アウトな場所。
どうなってるんだよ…とすら思える距離感。
でも、今も生きている火山を目の前にすると、その自然のチカラを少し分けて貰った気にすらなる自分もいたけれど。
何処までも続いているかの様な広さのある塩の湖。
灼熱のアフリカの太陽に照らされて、生暖かい温度になった湖の水。
その下は、実は塩。
それは、海岸からは随分と離れているけれども、その昔、海だった証。
辺りに木もナイし、川も見当たらない上に、この暑さ。
それでも悠々と水を湛えるアサレ湖。
舐めてみると確かにしょっぱい塩の湖は、夕方が一番美しく、空も湖も太陽で染まったかの様な絵になって、思わず、息を飲んだ。
派手さはない。
別にウユニ塩湖の様な映り込みが出る程の浅さじゃない。
でも、ただ美しい空と湖の色が、そこにあった。
塩湖であるアサレ湖近辺の最大かつ唯一の産業は塩。
産出した塩を運ぶのは、未だにラクダのキャラバン。
21世紀になってしばらく過ぎているのに、未だに、ラクダのキャラバンが健在で、アサレ湖から、メケレ方面に57キロのキャラバン(かつては1週間の日数を掛けてメケレの町までラクダで運んでいたらしい)。
1頭のラクダに対して、40センチ×30センチの塩の板を30枚ぐらい括り付けて、運んで行くと言う(因みに、ロバの場合は15枚らしい)。
ラクダで200キロ、ロバで100キロになる重さ。
それが列を組んで、ゆっくり歩いて運んでいる姿を見た時、今が21世紀であると言うコトを忘れた瞬間だった。
アサレ湖で採掘しているのは、ムスリムのアファール族。
キャラバンをしているのは、キリシタンのティグレ族。
何とも不思議な組み合わせ。
でも、この過酷な大地で生き延びて行くには、互いに手を取り合わないと生きては行けないと言うコトだろうか。
そして、ツアー最後は、ダロール火山へ。
“山”と言うよりも、丘に近いぐらいの標高のダロール。
その姿を見た瞬間、もうコトバを失うしかなかった。
目に入って来るのは、熱された塩水が噴出して出来た極彩色の自然の姿。
塩・硫黄・カリウム。
それが何とも言えない、絶妙な色彩感を創り上げて行っていた。
人工的には決して作れない。
異次元の世界観。
もう…
何なんだよ、ココ、地球上じゃないじゃん、色が。
基本的にはツアーへの参加になり、アディスアベバからもツアーが出ているが、基点になるのは、メケレの町。
メケレの町にはアディスアベバからバスだと1泊2日だが、エチオピア航空も就航しているので、時間がない人は搭乗するのもアリだと思う。
利用したのは、“Ethio Travel and Tours”(Webアリ)。
バスターミナルからゆっくり歩いても10分ぐらいのヨハネスホテルの1階にオフィスがあるが、何故か、ホテルの入口もオフィスの入口も分かりにくい(でもホテル自体は比較的大きいです)。
他に、アスクムホテルの1階(道路に面している)K.G.AhaduTours & Travel Agencyも。こちらはドイツ人がオーナーで、1日目or2日目にシャワーが浴びれるとか言う話がちらほら。
どのツアー会社に参加しても、人の多さによって値段が変わり、ツアー料金に含まれているのは、こんな感じ。
・水
・ガソリン代を含む車代(エアコン完備だが時々壊れている)
・ガイド/ドライバー/コック/ソルジャー(必ず護衛が必要なエリア)
・入域許可とその手続き
・食事(基本、1日3食で結構、美味)
・キャンプ代
途中でドリンクを買える場所はナイ訳じゃないが、その料金は含まれていない。
ツアーに参加中は不要な荷物はツアー会社に預けられる他、寝袋も借りれましたが、肝心なのは、人が集まっていないとツアーが催行されないと言う所だと。
ただ、ダナキルの知名度は年々上がっているので、催行率は徐々に高くなっているとは思われます(憶測ですが)。
必須なのが、ライトとサングラス。
ライトに関しては、ペンライトよりもしっかりと辺りを照らせるモノがあると便利(頭とかに付けられたら、両手が使える様になるので、余計に便利)。
また、訪れた時点では、ツアー途中で充電が出来ないので、しっかりと充電と予備は持参したい所。
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