仕事帰りの電車の中で、スマホを見ていたら、次の様なニュースがYahoo!ニュースに掲載されていた。
マンガ「オールドボーイ「リバースエッジ 大川端探偵社」などの作品で原作を務めたマンガ原作者の狩撫麻礼さんが1月7日に亡くなった。14日小学館が発表した」
狩撫麻礼さん。
何か見たコトのあるお名前。
でも、パッと思い浮かばなかった。
普段からそこまでマンガを読んでいるタイプじゃない。
なので、良く読んでいたマンガとかは、結構、作者も覚えていたりするんだけれども、さすがに原作者となると、記憶の隅の方に行ってしまう訳で、スグに自宅で調べてみたら…
『迷走王ボーダー』の原作者でした。
『迷走王ボーダー』は、旅先で読んではいけないマンガ?
『迷走王ボーダー』。
かなり好きなマンガの1つ。
ってか、トップ10ぐらいには入って来る様なレベルなんだけれども、それなのにお名前を失念しているとは…と。
1986年から連載が始まった作品だから、ご存知じゃない方も多いかとは思いますが。
どんな作品なのか…と言うと、Wikipedia的には、こんな感じであらすじが書いてありました。
いい年をして安アパート「月光荘」の便所部屋でその日暮らしの極貧生活を送る粗暴な蜂須賀と、同じく無職で素性不明の久保田、東大志望の浪人生(のちに合格)で、蜂須賀に迷惑をかけられながらも行動を共にする木村の3人が巻き起こす騒動を描いた物語。自分たちから見て「あちら側」と称した世界(つまり唾棄すべき一般人の世界)と「こちら側」との境界線を行く者という意味で「ボーダー」という生き方を選んだ3人の生き様を、時にはリリカルにコミカルに描く。
『迷走王ボーダー』Wikipediaより
つまりは、今の言葉で簡単に言い換えれば、
「月3,000円のボロアパートに住むニートが繰り広げる物語」
とでも言えばいいでしょうか(ざっくり言いすぎですが(笑))。
元々は旅人で、10年間大陸をさ迷っていた主人公。
本当は冴えた男なのに、バブル景気真っ只中の社会風潮に背を向け、コミカルに描かれてはいるけれども、何処か哲学的なマンガだったりもします(物語の前半と後半では結構、テイストも違う感じがありますが)。
『その<普通>ってのがクセ者なんだ
俺たちの敵…常識と 好感度がすべての
“あちら側”の 人間の入口が<善意>なんだ
地獄への道なんだよッ』
普段はアホみたいなコトばかりしているのに、時折、こう言う硬派な部分を織り交ぜてくる。
『無為こそが過激
なにもしないでブラブラしているのが
ホントは一番チカラ技なのさ』
現在の行き過ぎた消費社会・経済志向に対して警笛を鳴らす様な60年代辺りからのニューエイジ運動が根底にあるのかも知れない。
自由を追い求めながら生きるのが、辛うじて世間的に許されていた感じが残る時代。
もう今は、そんな時代じゃないのかも知れないから、今の時代の大学生とかが読んだら、また違う感想を思うのかも知れないし、人気を集めないのかも知れない。
ちょっと自己陶酔と言うか、“中二病”的と思われそうな感じがしなくもないし。
価値観は人それぞれ。
でも、人はやり直せる。
何かを追い求められる。
『おれは目に見えるものだけを信じる奴には理解されねえ』
旅先で読みたい作品。
でも、旅先では読んではいけない作品No.1。
多分、読んだら、こうなります。
(笑)。
こうならなくても、少なくとも“日本に帰りたくなくなる”もしくは、“社会復帰する気持ちがなくなります”。
ボクが出会ったのも、「月光荘」だった
この作品に出会ったのは、ボクが大学生の頃。
京都にある安宿「月光荘 京都」でした。
そう、この作品の主人公が住み着いている「月光荘」と同じ名前の宿。
この宿に全巻セットで置いてあり、ついそれを手に取ってしまったのが、最初でした(今も宿自体はあるのですが、マンガが置いてあるのかどうかは不明です)。
旅先で、こんなマンガに出会ったら、もう引きこもりでした。
そして、ずっと旅を続けたくなる(と言うか、社会復帰したくなくなる)…と言うマンガ。
そう言えば、キルギスの「サクラゲストハウス」にも置いてありました~。
探せば、他の世界の宿にも置いてありそうな、そんなマンガ。
海外の安宿では屈指のマンガ蔵書を誇るブダペストの「アンダンテゲストハウス」には置いていなかったけれど、置いてくれないかしら(笑)。
平安時代に舞台を移した『ネオ・ボーダー』に続いて、『ボーダー・改』の構想がアナウンスされていただけに残念だけれども、ご冥福をお祈りすると同時に、もう1度、読み直そう…と。
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