「北斗星」ラストラン

かつてはいっぱい走っていた寝台列車。
“銀河”“あかつき”“きたぐに”“日本海”“富士”…
ボクがその中で乗ったコトのある列車は、それ位だけだれども、今は、そのどの列車も残っていない。
そして、「北斗星」までもが、最終運行になり、27年間の走りにピリオドを打った。

日本に残る夜行列車

23日朝、上野駅に札幌駅からの臨時寝台特急「北斗星」が到着した。
既に定期便は廃止されていた「北斗星」だが、臨時運行を含めて、これが最終運行になった。

またしても、夜行列車が無くなった訳だが、今回の「北斗星」の運行廃止は、来たる北海道新幹線開業に向けた流れと、客車の老朽化が、その理由とされている。

これは「北斗星」が上野駅に到着した時の様子だが、反対側のホームにまで広がるほどに、大勢のファンの人で賑わっている。

そのほとんどはきっと、熱心な鉄道ファンなのだとは思うが、各種報道でもこの「北斗星」のラストランは取り上げられるほどに話題があった。

定期運行の最終日も、同じ様に、各種報道に取り上げられているのを見ると、まだまだ一般の人に対しても、人気も需要も健在だったんだなぁ…なんて、つい思ってしまう。

逆に、ここまで人気があるのに、どうして運行を残すコトが出来なかったのだろう…とすら、思えてしまう。
もちろん、北海道新幹線の開業に向けた流れがあるのは、分かってはいるのですが、北海道新幹線が開業したからと言っても、首都圏から札幌まで、新幹線でわざわざ高いお金と長い時間掛けて行きたいか…と問われると、そうでもなくて、飛行機で飛びたいけれどもなぁ…なんてコトも、つい思ってしまったりします。

さて、ここで日本に残っている夜行列車と言うのは、どれだけあるのだろう…と思って、取り上げてみると…

  • カシオペア(臨時):上野~札幌
  • サンライズ出雲:東京~出雲市
  • サンライズ瀬戸:東京~高松
  • はなます(寝台急行):札幌~青森

だけになる。
他に名前を挙げるとすると、臨時運行の「ムーンライトながら」「ムーンライト信州」と、「ななつ星in九州」、そして東武が臨時で運行している「スノーパル」「尾瀬夜行」くらいしか、名前を挙げられなくなるのが、現状で、定期便に限って言えば、もう3本しかないと言う状態になっている上に、北海道新幹線の開業を前に、“カシオペア”と“はなます”は運行存続問題が噂されている状況下にある。

かつては寝台列車や夜行列車と言うのはホントに何本も走っていたし、大阪・京都発の寝台列車もあったのに、こんなに低迷するだなんて…と、つい思ってしまうのだけれども、本当に“時の流れ”なのだろうか…とも思えてしまう。

海外ではまだまだ根強く残っている寝台列車が、どうして日本では衰退の一途なのだろう…とも。

日本の寝台列車が衰退した理由

そもそも、国鉄(もうこの響きも懐かしいし、この時代を知っている人も少なくなったのでしょうが)が解体されてJRになってから、全国にその路線はあるモノの、営業区分が地域毎になったと言うのは、大きいだろう。
例えば、生き残っているサンライズは、瀬戸で言えば、JR東日本・東海・西日本・四国の4社を跨いで走る列車になっている訳だけれども、走らせるうまみが分散してしまって、積極的に残す理由がなくなってしまった感がある。
東日本と四国は、それぞれ始発・終着区間を担当しているが、そこまで運賃収入を得られない列車になっているし、東海などは自社の営業区域からの集客はほとんど見込めない訳で、走らせるだけの理由がなくなってしまっているのだ。

次に、競合する交通機関が充実して来たと言うのも大きい。
航空会社の運賃体系が充実して来たコトもあるし、格安の高速バスも運賃だけでなく、シートや便数などが次々と充実して行く流れにある中で、すっかり埋没してしまった感じがある。
またホテルも、安いホテルが検索して予約し易くなった為に、わざわざ夜行列車を使う手間を掛ける必要性も薄くなってしまったのかも知れない。

さらに速度が遅いと言うのもあるのかも知れない。
サンライズを除くと、客車での運航が続いてきた日本の寝台列車だが、速度はそう速くはナイ。
新幹線や飛行機を使うよりも遅く出て、早く目的地に到着すると言う流れが、完全になくなってしまって、ビジネスでは使いにくくなってしまった感は否めないだろう。
さらに、施設面でも、陳腐な感じは否めなくなってしまい、その割に高い運賃が設定されていると言うのは、致命的だっただろう。

そして更に言ってしまえば、新幹線が、少しずつ増えていると言うのも、大きいのだろう。

今後の日本の夜行列車は…

衰退する一方の日本の夜行列車。

だが、需要がないから衰退して行くのだろうか…と言えば、そう言う気もしない。

需要がない訳ではない。

ただ、設備も貧弱で、値段だけが高くて、決して早くもナイ。
それでは衰退しない訳がない。

もちろん、JRになって、どの会社も寝台列車の維持や向上に及び腰なのは、営利目的の企業としては分からなくもない。
新しく寝台列車に対応する車両を作った所で、寝台列車は1日1往復どころか、片道しか走らせるコトが出来ない。
他の用途には向かないのだから、それは仕方がないが(かつては583系の様な昼夜兼用出来る車両もあったけれど)、そうなると費用対効果が著しく悪化する訳で、積極的に寝台列車を残そうと言う流れになる訳がないだろうし、新幹線を持っている区間であれば、そちらを利用して貰った方が、鉄道各社としては有難いに決まっている。

だけれども、サンライズの例の様に、しっかりとテコ入れを図れば、ある程度の人気が出そうなモノなのになぁ…なんて、つい思ってしまう。
夜行バスでは、やっぱり疲れが残ってしまう様な距離であったり、しっかりと横になりたい人と言う需要は、小さくはないのに、そのビジネスチャンスを逃している様な気がしてならないのだ。
東京~広島や松山くらいであれば、サンライズをもう1本立てて走らせても、需要がある気がするだけなのだ。

ただ何もせずに、ノスタルジーだけを頼りにして、そのまま衰退してしまった現状が、どうなの?と言う感じなのだ。

ここまで衰退してしまったら、なかなか機運を盛り上げるのは、難しいのかも知れない。
だけれども、羽田発の深夜の国際線の盛り上がりなどを見ていると、“会社帰りにそのまま旅立てる”と言う選択肢が、もっと日本の鉄道にはあっても良い様に思うのだが…

 

Sponsored Link



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください