キャセイドラゴン、ブランド廃止へ!
コロナ禍で経営状況が悪化している香港のフラッグキャリアであるキャセイパシフィックグループが、グループ再編と人員整理を行なうコトが明らかになりました。
まず運航面では、子会社化したLCCの「香港エクスプレス航空」と、本体の「キャセイパシフィック航空」による運航に集約をし、「キャセイドラゴン航空」の運航を“直ちに”停止するコトに。
またグループ全体では、約8,500人の人員を削減する。
これはグループ全体の約24%に当たる人数。
まず新規の雇用凍結と自然減のほかに、約5,900人を削減する。
その中で拠点である香港の従業員は、約5,300人で、香港外で600人。
削減対象になった場合は、法定要件を上回る退職支援を行う方針。
さらに残った従業員に対しても、特別休暇制度の実施に加え、2020年の年次ボーナスの凍結、2021年の昇給停止を行なうほか、役員報酬の減額も2021年まで継続する。
再編に掛かる費用は、約22億香港ドル(約300億円)。
残る従業員についても、パイロットやCAに関しても、雇用条件の変更を求める方針とのコトで、聖域なくコストカットを行う模様。
国内線がなく9月も98%減!
グループ全体の1~9月の乗客数は、前年同期比で83.2%減の大幅な減。
この事業再編が完了すると、現時点では毎月の現金流出が毎月15~20億香港ドルに達しているが、2021年には5億香港ドル程度、改善を見込んでいるとのコト。
ただそれでも需要減には追い付いていない。
そもそもキャセイグループは、コロナ禍以前から、香港での大規模なデモ活動によって、落ち込んでいた訳ですが、9月の旅客数は前年同期比98%減。
国内線を持たない香港の特性が、大きく影響しているのは、確かで、声明でも、「回復が遅いのは明らかだ」としている。
最も楽観的なシナリオでも2021年の運航は2019年の半分以下に留まると見ている。
近・中距離路線担当だったが…
今回、事業が停止する「キャセイドラゴン航空」は、1985年に設立された「香港ドラゴン航空」が源流。
中国航空集団が筆頭株主であった時期もあるが、2006年に「キャセイパシフィック航空」と「中国国際航空」との資本提携が行わた際に、「香港ドラゴン航空」を完全子会社化。
2016年に「キャセイドラゴン航空」にブランド名を変更し、塗装もキャセイグループに変わり、新体制が落ち着いて来た矢先であった。
今後は、「キャセイパシフィック航空」本体かLCCの「香港エクスプレス航空」が運航を続ける計画だとのコト。
元々、香港からの近・中距離路線を担当していた訳ですが、ナローボディのA320/321だけでなく、A330-300も運航しており、その棲み分けは、大手航空会社のグループの中では、やや曖昧だった様には思う。
一時期はキャセイ本体も就航している羽田線なんかも運航していましたしね(2019年11月から運休中)。
本来は、機材をナローボディに絞るか、中国本土路線に絞れば、もう少し分かりやすかったように思うけれど。
日本からの乗り継ぎもしやすい東南アジア線に限れば、タイはバンコクではなく、プーケットとチェンマイ。
フィリピンで見ると、マニラではなくクラークなど、確かにLCCの香港エクスプレス航空との親和性は高いのかな…と言う気はするけれど、LCCよりもレガシーキャリアの方が、コロナ禍からの回復は早そうに思うのですが、この辺りは、どうなんでしょうね。
個人的には、今年の1月に、台北(桃園)→香港間で搭乗したのが最後ですが、一去年も徳島空港に初の国際線定期便(但し、季節運航)の初日に搭乗していたり…と、近年、比較的よく乗っていただけに、いきなりのニュースでびっくりですが、苦しいキャセイグループ。
このまま資本の再編などに結び付かないコトを願うばかり(元々、スワイヤーグループの中核企業ですが、中国国際航空が第2位の株主だったりもしますので)。
ってか、スワイヤーグループは、近年、政治的には中国寄りと見られていますが、これはビジネスをする上では仕方のない話。
ただこのグループや香港上海銀行(HSBCホールディングス)などが完全に中国化してしまったら、香港も大きく変わるんだろうな…
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