『僕らはまだ、世界を1ミリも知らない』

『僕らはまだ、世界を1ミリも知らない』

著:太田英基
刊:いろは出版

世界のビジネスを見て、人と出会う旅

2年を掛けて、50ヶ国を旅し、1,000人以上のビジネスマンに会うと言う旅。

バックパックで旅をするけれど、バックパックの中には、ジャケットやネクタイを詰め込み、世界中の遭いたい人にコンタクトを取りながらの旅。

ただの世界一周旅行記ではなく、英語を身につけて、旅をし、視点をグローバルに切り替えて、色々な国の人とかかわって行くと同時に、“日本人”としてのアイデンティティも考えさせてくれる1冊。

正直、かなりテンポよく読める。
1つ1つの話が、かなり短いのが特徴で、そのお陰なのだとは思う。

悪く言えば、ブログみたい…と言う気はするし、普段、旅行記を読む人であれば、物足りなさを随分と感じてしまうかも知れないけれど。

世界一周が、目的ではなく、手段

チャレンジするココロ。
何かを知ろうとするココロ。

やっぱそれはエネルギッシュな空気が流れるし、人が人を呼んで、いい連鎖が起きるんだと思う。

この場合の人は、他人だけでなく、自分自身も言えるんだろうけれど。

それまでの世界一周をした多くの人の旅は、あくまでも“世界一周”をするコトが目的であった様に思う。

本書がそれらと異なるのは、“世界一周”が目的ではなく、自分が世界を知る為の手段であったコトだと思う。

それが何よりも面白い。

今でこそ、そうした何かを目的とした“世界一周”の旅と言うのは、他の方々もやられている様に思うけれど、この本が出る前までは、ホントにごく一部だったと思う。

そうした旅がギュッと詰まっている感じ。

どっちつかずの本だけれど…

ただ旅の本としては、要素がかなり薄く、逆に自己啓発の本としても、ボリュームが薄い。

それが難点だとは思う。

まぁ、世界を一周して、色々な人と出会って、それらを全てまとめたら、とんでもないボリュームになってしまうので、それも現実的ではないのだろうけれど。

それでも本書が初めて出版された時は、それで良かったんだと思う。

だって他に類書がほとんどなかったから。

ただ時間が過ぎ去って、今、この本を読む意味がどれだけあるんだろう…と言う点。

個人的には、時間が過ぎ去っても本書は読める。

旅の情報を連ねた本じゃないと言うコトが、功を奏していると思う。
別に読んでいて、風景が浮かんで来る様な描写がある訳でもないし。

もちろん、出版以降も世界はめまぐるしく変わって行っているから、全てが読むに値するかと言われたら、そうじゃないのかも知れないけれど。

でも、普段、旅をしない人。
普段、本を読まない人には、絶妙な感じだと思うし、そうした人にとっては、今も読める本だと思う。



キラキラ系の旅?でもないのは、真似した旅じゃないから

で、こうした本を紹介すると、今どきの“キラキラ”系の旅と捉えられそうな感じがする。

何を以て“キラキラ”系の旅と捉えるのかは、今回の記事ではスルーするけれど、確かに自己啓発を兼ねた旅は、キラキラ系なのかも知れない。

でも、個人的には、今どきのキラキラ系とは思えないのが本書。

と言うのは、誰かをそっくり真似た旅じゃないから。

旅と言うのは、人それぞれのカタチがある。

だけれども、それらの多くは、誰かの真似をしているモノ。

単に、誰かが行った情報を基に、旅をしているだけなのだから、そりゃ、必然的に似て来るモノである。

だけれども、バックパックの中にジャケットを入れて、ビジネスマンに会ったりすると言う旅は、それまでにはなかったスタイルの旅だと思う。

元祖だからこそ、自分の信念の基に旅をしている。
だからこそ、キラキラしている様な感じを受けず、アラフォー旅人でも読める1冊なんじゃないかな…と。

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