若者の海外旅行離れは、ホントか?

実感ナイけれど、ホントに若者の海外旅行離れは進んでいるのか

2月になりました。

いよいよ学生もテストシーズンが終わり、卒業旅行や冬期休暇を利用しての海外旅行シーズンに入る訳で、今年の2月も、この休みを利用して旅行に出掛ける人も多いかと。

四六時中、働いていた時は、出来る限り、その手のニュースは聞かない様にしていた(行きたくなるだけなので)。
でも、こっちは今、年中有休だもんね(爆)。

でも、日本人(特に若者)の「海外旅行離れ」が進んでいると言う話題を、ここ数年、よく聞く。

旅をしていると、“ホントかよ”と、つい思いたくなるぐらいに日本人に会うし、学生の休みシーズンで、タイとかメジャーな国だと、うじゃうじゃといるから、全然、実感がわかないけれども。

まぁ、確かに昔よりは減ったかな…と言う感じはあるし、それ以上に韓国や中国の方が増えたな…と言うのは実感としてあるけれど。

でも、実際、どれぐらい少なくなっているんだろうと思って、ちょっと調べてみた。

日本人は、パスポートは4人に1人しか持っていない!

まずは海外に行く為には、まずはパスポート。
これを持っていないコトには話にならないので、ひとまずパスポートの取得率から見てみました。

平成28年度版の『旅券統計』(外務省領事局旅券課)を見てみると、有効旅券の総数は30,103,171冊だそうだ。

つまりは全日本国民の4人に1人ぐらいしかパスポートを持っていないと言う計算になる。

ってか、めちゃ少なっ。

100人の日本人がいても、25人しかパスポートを持っていないって…
逆に言うと、4人に3人は持っていないなんて、ちょっと驚きです。

しかもLCCが普及し始め、航空券の値段も下がっていて、ホントに気軽に海外に出れる時代だと言うのに…

もちろん、乳児も含めた総人口で単純に割ってみただけなので、超高齢者の方なども除いた実際に海外旅行に行ける人で割ってみたら、3人に1人ぐらいになるのかも知れないけれど。

因みに、戦後の旅券発行数を見てみると、一番多かったのは、平成8年で、6,236,438冊。
それが平成28年になると、3,738,380冊にまで落ち込んでしまうので、約60%のレベルにまで新規の発行は減っていると言うコトになる。

が、平成8年の海外への渡航者数は、16,694,769人。
平成28年を見ると、17,116,282人と、逆に伸びていたりする。

つまりは新規のパスポート取得率と言うのが、海外旅行への渡航者数と必ずしも比例している訳じゃないと言うコトになる。

もちろん、これはLCCの増加で相対的に航空券の値段が下がりやすくなっているのに加え、便数も増えたし、そもそも旅行会社を通さないで航空券を買える様になったのも大きいのだと思う。

因みに、この平成8年。
始まった時の首相は、村山富市氏(1月時点では日本社会党)。衆議院議長が土井たか子さん。
そして、アムラーに火が付いた年だったらしい。

おたかさんもお亡くなりになり、安室さんも引退が決まり、社民党に名前を変えた日本社会党は国会の絶滅危惧種状態。

案外、遠い昔の話になりますね…(笑)。

肝心の若者のパスポート取得率は、約6%程度だが…

さて、平成28年に20代の人が取得したパスポートの総数は、783,047冊。

この世代の人口が1,274万人(『人口推計平成28年9月報』総務省統計局より)。

なので、20代のパスポート取得率と言うのは、約6%程度と言うコトになる。

30代だとこれが約3%に、40代だと3%以下に落ちる。

10代が5年物のパスポートしか保有出来ないのに比べて、30・40代の方は10年物からの更新の人も多いでしょうから、一律に比較は出来ないのだけれども、“若者だからパスポートの取得率が低い”とは一概に言えない様に思う。

単純に計算すれば、20代は更新の場合は5年物から+新規がメインになるのに比べて、30代以上の場合は、10年物からの更新がメインになるので、取得率が倍ぐらいになれば、まぁ、悪くない数値になる計算になる様に思えるのですが、どんぴしゃ、倍になっているんだから、別に数字的には低い訳じゃない。

なのに、JATA(日本旅行業協会)と成田空港は、若者がパスポートを取得したら1万円助成と言うキャンペーンを観光庁の後援を得て行っていたりする。

いやいや、後援ってコトは税金が入っている訳ですよね。

そもそも数字、読み間違えていませんかーって感じがしてしまいます。

パスポートの保有率が悪いのは、若者だけじゃないですよーっと。

なら、ボクにも助成をーっと。
*注:年代別のパスポート保有率は統計が出ていないので、不明と言うコトで、あくまでも理屈上の話です

出入国管理統計から見ても、そんなに悪くない

実際、入国管理局が出している『出入国管理統計』を見てみる。

そこには滞在期間別の帰国日本人の年齢が見られたりする統計があるのだが、それと年代別の総人口を割ってみると…

20~24歳…約22%
25~29歳…約22%
30~34歳…約21%
35~39歳…約19%

ってか、別に悪くない。

数字だけ見ると、遜色なさそうで、「若者の海外旅行離れ」と言うのは、何処から出て来た話なんだろう…とすら思ってしまう。

もちろん、働き盛りだったり子供が出来てくる30歳以降に出国率が悪くなると言うのは、分からんでもないから、それと比べると、まだ時間に余裕がある学生が多い20歳前半の海外旅行参加率は高くはないかも知れないけれど、この統計も「学生」とかで区切っている訳じゃないし、新卒で就職してスグの23歳とかって、有給が取りにくい職場もあるだろうから、一番、海外旅行に縁がなさそうな世代も含まれちゃうので、一律には何とも言えないけれど。

しかも元データである『出入国管理統計』は海外出張の方なども全て含まれた総数になるのだけれど、若者の場合は、基本的に純粋に海外旅行の方が多い訳で、それを含んで考えると、やっぱり特に若い世代だからと言って、海外旅行に出ていない訳ではない気がしてならない。

いや、そう言う意味では、純粋に「海外旅行」と言う点で縛ってみると、海外出張の上げ底がある30代とか40代の方が、海外出国率と言うのは、悪いようにしか思えない。

また何よりも保有するパスポートで複数回、海外旅行に行っている人の割合が分からないので、一概にこの統計だけで割って判断するのが正しいとは言えないのかも知れないけれど。

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結論:若者の海外旅行離れは間違っている?

だけれど、数字から読み解くと、特に「若者の海外旅行離れ」が進んでいる様には思えない。

数字だけを見てみると、単に「日本人全体が海外旅行に行っていない」と言えるのかも。

もちろん、海外への渡航者数は伸びているけれど、そもそもが諸外国に比べると少ない。
だって、パスポートですら4人に1人しか持っていないんだから。

そう言えるんじゃないだろうか。

なら逆に、何度も何度も海外へと旅行に行っている人にどんどん情報を発信して貰って、「海外旅行の魅力」を広める様にキャンペーンや助成を打った方が、ちょっとは効果が上がる様な気がして来ましたね。

それにしても…
ホント、何処から「若者の海外旅行離れ」と言うフレーズは生まれて来たのだろう…

もしかして計算の仕方とか、間違ったかな…オレ。

ん?

もしかして、コレって単に、マスコミに踊らされているだけなんじゃないのかな…
「若者の〇〇離れ~」って言っておけば、ちょっとは目に付きやすいだろうし。





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