『散歩とごはんのくりかえし』
松本 智秋・著
自由国民社・刊
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パラパラと眺めると現地の雰囲気がしっかりと詰まっている1冊
横長の版が印象的な1冊。
著者が世界各国で食べて来たごはんを丁寧に取り上げている1冊なのですが、事細かい解説がある訳ではなくて、どちらかと言うと、写真集と言う感じにも近いかも。
それがちょうどイイ感じで、散歩中のカフェでまったり眺めたりしたい…と思える様な仕上がりになっている感じ。
文中にもあるのですが、大きな一眼レフを持ち歩いて、ピントを合わせて、1枚の写真を撮ったと言う感じではなくて、ホントに頼んで出て来た料理をスナップショットの様に撮っている感じが、肩ひじ張らずにこの本を眺められる要因になっている様にも思える。
どうしても写真って、色々なエフェクトや修正を掛けられたりするコトもあってか、写真で見るのと現地で見るのとでは、“写真の方がキレイに見えない?”みたいなコトが、最近、良くある様にも思える。
それはそれで一概にダメと言うつもりはない。
メリットがあるコトもあるでしょうから。
ただこの本は、それが全くなくて、現地の風景や食事の写真が、現地のまま、ありのままに見える形で掲載されている感じ。
それがまた現地の雰囲気をちゃんと伝えてくれる1冊になっている様に思えるので、下手なガイドブックよりもよっぽど現地の空気が感じられるかも。
ヨーロッパやアメリカと言った日本人に馴染みの深い国は基本的になくて(アジアぐらい?)、基本的にそれ以外の国が掲載されているのですが、個人的には、行ったコトのある国も多く、
“あ、そう言えば、コレ食べたなぁ…”
なんて思い出しながら眺めているだけでも楽しくなれる。
でもそれも、写真の色合いが現地のままで掲載されているからこそ、フワッとだけれども、自分が食べた時の雰囲気とかをチラッとだけ思い出したりできるんだろうな…と。
何だか、いいな…
そんな1冊になっていました。
ボクとしては、そこまで現地の料理を是が非でも!!と言うタイプじゃないんですが、こうして俯瞰して眺めてみると、料理を通して人の温もりが伝わって来る感じなので。
別に、人の写真がそこまで写っている訳ではナイ。
基本は料理だし。
でも、その奥にある人の顔が浮かんで来るかの様な1冊。
それは、“料理”が為せる技なのか、著者が持っている“人の味”が為せる技なのか、どちらなんだろう…と考えた時、それよりも、著者がホントに旅を楽しんでいて、それが料理と言う場で周りの人に伝わるんだなぁ…みたいに思えて来るかな。
対象エリアが、ちょっと微妙?
惜しむべきなのは、南アフリカ地域と中南米が皆無と言う点でしょうか。
1冊で世界一周が出来る様な構成だったら良かったのに…と。
アフリカもモロッコぐらいしか掲載がないですしね。
ただ、著者はこの後、南米に出ている(と書かれている)ので、続編とかも何か動きがあればいいのに…とは思いますけれどもね。
でも、世界一周でもナイのに、これだけの国を丁寧に回っている感じなのは、スゴイ所。
世界一周をする人は、随分と多くなって来た。
だけれども、こうして働きながらの(比較的)短期間の旅であっても、継続して旅をする人は、まだまだそこまで多くはない。
それは日本社会に戻ってからの環境がそうさせるのかも知れないのだけれども、ホントに旅が好きでなければ、継続して旅に出ると言うのは、なかなか難しいモノがあるかと思う(自分もそうだし)。
旅を中心に据えた生き方。
料理をメインにしているけれども、そんな生き方の集大成の1つが、この本なんだろうなぁ…
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