ANA決算、2期連続の赤字
ANAの2021年度決算が発表になりました。
2020年度は、通期として過去最大の4,046億円の赤字を計上したANA。
その際には、あくまでも2021年度には最終的に50億円の黒字転換を…と強気の姿勢でしたが、結果からすると、1,436億円の最終赤字で着地し、黒字転換は果たせませんでしたが、売上的にも赤字額的にも、改善を見せた1年と言う状態。
具体的な数値で見ると、こんな感じ。
2022年度 | 対前年度比 | 2021年度 | 対前年度比 | |
売上高 | 1兆203億円 | +40.0% | 7,286億円 | ▲63.1% |
営業損益 | ▲1,731億円 | ー | ▲4,647億円 | ー |
経常損益 | ▲1,849億円 | ー | ▲4,513億円 | ー |
当期純利益 | ▲1,436億円 | ー | ▲4,046億円 | ー |
引き続き、コロナ禍の影響が色濃く残った1年だった訳ですが、その中では大きく改善して来たと言える数値になったとは言えそうですね。
ANA|2021年度決算短信
ただコロナ禍の影響がまだ僅かだった2020年度から比べると、売上高も50%にまで戻したにすぎない状態なので、手放しで喜べるような内容でもないでしょうし、そもそもコロナ禍で財務は傷ついているので、今後、どれだけ早めに巻き返して行けるのか…と言う感じも。
年間通して貨物が好調を維持
JALもそうですが、貨物分野が絶好調。
特にANAは貨物専用機材を保有しているコトもあり、好調の波を受けていましたが、年間トータルでも貨物がかなり決算を引き上げた感じ。
主力である「航空事業」のセグメントで見てみると、こんな感じ。
セグメント | 2022年度 | 2021年度 | 対前年度比 | |
売上高 | 国際旅客 | 701億円 | 447億円 | +254億円 |
国内旅客 | 2,798億円 | 2,031億円 | +767億円 | |
貨物郵便 | 3,617億円 | 1,868億円 | +1,749億円 | |
LCC | 378億円 | 220億円 | +157億円 |
旅客(国際・国内)も貨物郵便も、LCC(ピーチ)もそれぞれ前年度からすると躍進と言える決算になっていますが、旅客(国際+国内)の売上高よりも、貨物郵便の売上高の方が大きいと言う状態にまでになっています。
逆に、貨物郵便の売上がなかったら、かなり悲惨な状況になっていた…とも言えるのかも。
まだまだ回復途上ですが、薄日は確実に見えてきた。
まさにそんな感じ。
2019年度には303機あった機材。
それを2022年度には270機にまで絞り込む計画のANA。
人員削減などもあり、かなりスリムな体制を構築し始めていて、2021年度下期の実質キャッシュフローは138億円の黒字に転換するところまではたどり着いている。
まだまだコロナ禍以前の状態にまで到達するのは先の話にはなるのでしょうが、まずは国内線でしっかりと旅客を戻して、黒字ベースにしていくと言うのが、2022年度上期の動きになるのかな…と。
不安要素は、需要以外にも
ただ不安要素がナイ状態ではない。
それは旅客の戻りと言う話だけでなく。
まずはウクライナ情勢。
これが落ち着かないコトには、先に進まない情勢だろう。
欧州便も大きくロシアを迂回する必要性があるし、原油も高騰して高値張り付き…と言う状態になっていますしね。
そして、為替。
ここまで円が弱くなってしまうと、海外旅行熱は吹き飛ぶのでは?と言いたくなる水準。
折角、2022年夏に向けて、海外旅行も再び…と言う情勢になりつつあるけれども、今の為替レートだと、おいそれと海外旅行にも出かけられないぐらいのレートになっている。
この点は、どちらもANAではどうしようもできない話。
またマイルを軸とした「ANA経済圏」の構築も、まだまだ途に就いたばかり。
スーパーアプリ化を目指しているけれども、日常的に利用する…と言う内容になっているか?と言うと、そうでもない気がする。
少なくとも、ANA Payをどうにかしてブラッシュアップして行かないと…と言う感じ。
コロナ禍で主軸事業ではない分野を開拓し始めたANAだけれども、そこにソースを割くべきなのか、それとも本業に回帰すべきなのか…
その決断も、ここ2~3年ぐらいで判断が必要になってくるのかもなぁ…と。
個人的には、こうした動きは“買い”ですが、それはあくまでも旅が好きな人間としての話だしなぁ…
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