『アホウドリの糞でできた国ーナウル共和国物語』

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『アホウドリの糞でできた国ーナウル共和国物語』

文:古田 靖
絵:寄藤 文平
刊:アスペクト文庫

そもそもナウルって、どこ?

“ナウル共和国”。

この国名を知っている人は、多分、この本を読んだコトのある人か、よっぽど奇特な旅人か、そのどちらかじゃないかな…と言うぐらいの国(もしくは環境問題に詳しい人なら知っているのかも)。

奇特な旅人だって、行ったコトのナイ人ならば、何となく“南太平洋の島国”と言う印象でしかないんじゃないかな…とも思うけれども、実際の場所は、こんな位置関係にある国。

結構、拡大しないと島自体(いや、国自体)が地図上に表記されないし、周りの国が出てこないと言う大きさと場所にあったりしますが、パプアニューギニアとか、ソロモン諸島だとかに近い場所関係。

ナウルの近年の歴史は、マンガかよ…状態

サンゴ礁の小さな島。

そのサンゴ礁の上に何百万年もの月日に渡って、アホウドリの糞が堆積して出来た国。

そして、そのアホウドリの糞が、さらに長い月日の間に、良質なリン鉱石へと変質。
リン鉱石の採掘・輸出が、ナウルの基幹産業になり、そして莫大な富をナウルは得るコトに成功した訳ですが…

勿論ですが、資源には限りがあり…

最盛期には年間200万トンにまで達したと言うリン鉱石の輸出。
2002年には数万トンに落ち込み、さらに2004年には数千トン規模にまで採掘量が落ち込む結果に。

ナウルの基幹産業であったリン鉱石。

それが急激に減速すると、もはや小さな島で他に目立った産業もない訳ですから、経済はガタ落ちに。

そもそも裕福だった時代ですが、

  • 税金は無し
  • 教育・病院・電気代は無料
  • 全世代に年金を支給
  • 結婚したら政府から新居が提供
  • 採掘作業も他国からの出稼ぎ労働者がメインになり、ナウル人で働いているのは、国会議員と政府役人ぐらい
  • 国民1人当たりのGNPがアメリカ以上に(日本の倍に)なったコトも

と、とてつもなく裕福に。

今で言う所のオイルマネーに近い感じもありますが、中東諸国と比べると、格段に人口が少ないので、それだけ余計に1人当たりの政府からの保護は手厚いモノになっていた感じがあります。

が、資源が枯渇すると…

  • 採掘で島の表面がボロボロに
  • 耕地面積は0%
  • 森も採掘で消滅

と言う状態になり、国唯一の基幹産業が無くなった訳ですから、ほぼ全員が失業状態に。

90%がニートと言うか、無職で、残りの10%も90%以上が公務員と言う有り様。

これだけ失業率が激しいと、もうどうやって国や生活が成り立っているのか分からないレベルです。

自給自足が出来るんだったら良いのですが、裕福な時代に味を占めた人は、働く気力が皆無なのに加え、耕地面積が0%になっているのだから、ホントに、どうやって生きているのやら。

2003年には大統領官邸が国民の暴動によって焼失。
海外と繋がっていた唯一の電話回線も普通になり、電力供給も滞り、国民生活がマヒ状態になるなどの混乱も。

勿論、資源の枯渇を見越して、海外へ投資などもしていたらしいのですが、ことごとく失敗しており、ホントに笑ってしまうぐらいの八方ふさがり。

そんな国、ナウル。

豊かさとは、一体、何なのか

この本は、そんなナウルの話を小文と絵でサクッとまとめた1冊なんですが…

分かりやすいんですよね、非常に。

元々、買いたいなぁ…と思っていた本ではあったのですが、ついつい購入が後回しになっていたのですが、文庫になったのはびっくり。
ってか、そんな需要あるの…!?と突っ込みたくもなりましたが、お手頃価格になったので、即購入。

文庫版には、現地に行ったコトのある人の座談会もプラスされているので、読んでみて行ってみたいなぁ…なんて思った人は、文庫版の方がおススメかも。

それにしても、21世紀にもなって、こんな笑える国があるとは。

いや、笑っちゃいけないし、問題は解決されていなくて現在進行形ではあるんだけれどもね。

でも、マンガかよって言うぐらいの展開にしか思えないのは、この本が文と絵から成り立っていて、重たくならないからなのかも。

ホントに1時間もあれば、サクッと読めてしまう1冊。

そんな本なんだけれども、“豊かになると言うコトが、何なのか”と言うのを考えたくなる本だったりします。

お金があって、働かなくて済んで、時間だけがある生活。

確かに、それは“豊かな”生活。

でも、人が生きている限り、きっと何かを犠牲にしながら生きていたりする。
自分だったり、他人だったり、時間だったり、お金だったり、自然だったり。

バランスを求めながら生きて行くには、何を大切にして生きていくべきなのか。

“豊かさ”と“幸せ”とは、いったい、何なのか。

その1つの結果がこの本には詰まっている様に思える。

 

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