船を新造して新体制になった矢先だったが…
法令違反が続出したJR九州の日韓航路
「JR九州」の子会社の「JR九州高速船」が手掛けていた日本と韓国を結ぶ高速船「クイーンビートル」について、運航の再開を断念するコトを発表しました。
これは2024年2月に「クイーンビートル」の浸水を確認していながら、国土交通省に報告せず、3ヶ月以上も運航を継続していた問題が発端。
2024年8月の国土交通省の抜き打ち監査で発覚し、運休。
2024年9月に国土交通省が、海上運送法に基づく安全確保命令ならびに安全統括管理者と運行管理者の解任命令を発令。
さらに2024年10月には、福岡海上保安部が、船舶安全法違反などの疑いで、社内と船内を家宅捜索する事態に。
また「JR九州」側としても、慢性的な浸水トラブルを抱えているコトもあり、今回、撤退と言う流れになった感じ。
ビートル事業の歴史
福岡~釜山間で1991年以来、約30年で延べ600万人以上を運んだ航路。
国鉄民営化以来、多角経営を模索する中で、「ビートル」(定員191人・所要時間片道約3時間)で路線開設。
赤字が続いた時期もあったが、それを乗り越え、乗客数が増加し、2004年度には年間35万人の利用を数え、最大で4隻体制に。
が、次第に乗客数が減少。
日韓の対立やLCC各社が福岡便を充実させたコトもあり、利用は最盛期の半分程度に。
クイーンビートルで差別化を図ったが…
それに対して、逆転を狙い「クイーンビートル」を建造。
アルミ合金製で、デザインも「JR九州」の列車を多く手掛ける水戸岡氏。
所要時間が約30分伸びるコトになったが、定員は502人と大型化し、団体旅行などでも利用できるようになった。
さらに、船内はシートベルトなしでも歩き回れるコトから、快適さでもLCCとの差別化を図るコトに。
ただ建造後は、コロナウイルスの感染拡大。
2022年11月にようやく再開したが、事業全体で見ると「クイーンビートル」1隻のみの体制で縮小。
就航後も、船首付近の亀裂に伴う浸水が、度々、発生。
対馬海峡の荒波に対して、高速運航する船体は、波の影響を受けやすく、船体補強などの抜本的な対策に迫られたが、船の軽量化と形状が特殊なために技術的に困難であるとし、今回の運航再開断念という判断に至った形。
新造船でLCCに勝てる見込みがあったのだろうか…?
非常に残念な幕引きではある。
ただ「JR九州高速船」の杜撰な管理体制を考えると、当然で、仮に運航を再開させるとしても、ほぼイチから体制を変える形でなければならなかったようにも思う。
安全第一の交通事業者。
それを疎かにし、さらに技術的にも克服が困難であるなら、やはり仕方がないとしか言えない。
ただそもそも「クイーンビートル」での運航を継続するとしても、LCCとの競争に勝てたのだろうかと言う気もする。
福岡は何と言っても空港と市街中心部の距離が近い。
そして福岡と釜山の距離も近い。
LCCで飛んでしまえば、あっと言う間の時間。
空港~市街地の距離も、福岡側は問題にならず、釜山側も鉄道でのアクセスが可能(但し、地下鉄には乗り換えが必要)。
ネックになるのは、搭乗手続きの時間と面倒さだが、気軽にフラッと行き来するのであれば、大して荷物がある訳でもなく、それでいて値段が安いのであれば、快適さを売りにしたとしても、「クイーンビートル」に勝機がどこまであったのだろう…とも。
定員を多くして、団体旅行への対応ができるようになったと言えど、そもそも今の主流はもう団体旅行ではなく、個人旅行な訳だし。
採算を維持しつつ、船の新造費用を回収するのは、かなり困難だったのではないか…と。
グループの安全力が低下していないのか?
一時は4隻体制になるなど、旺盛な需要に応えた事業。
大きな事故が起きる前に、終わらせたと言うのは、プラスに捉えたいけれども、逆にこれだけの需要のある事業を破棄せざるを得なくなったのは、グループとしての経営体制の問題でもあるように思う。
監督体制もそうだが、そもそも安全を軽視するような風潮になっていたのではないか。
もしそうであるならば、やはり根本から直さなければならない話。
奇しくも、鉄道事業でも鹿児島本線で脱線事故が発生したばかり。
気になるのは、この脱線からの復活がやたらと時間が掛かっているコト。
原因を解明するノウハウ。
それを直すノウハウ。
その辺りが、欠けて来ているのでなければ良いけれど。







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