旅をしていたら、失敗の1つや2つ、起こり得る話。
別にそれを仰々しく語る訳でもないけれども、旅はトラブルの連続で、楽しいだけで済まない場合もある。
でも、五体満足で戻って来れれば、それでイイかなぁ、とも思う。
もちろん、記録したモノとかは盗られたくはないし、パスポートとかも論外だけれども。
でも、最終的に無事に戻って来れれば…とは思う。
家に帰るまでが“旅”とは、よく言われた話ですしね。
だけれども、もちろん、何もなく無事に戻って来れるのが1番なのは言うコトは無いけれど。
あっと言う間の出来事だった
その日は、プラッと出掛けてみた。
特にアテはなくて、ホントにプラッと。
ただ単に、何処かで早い夕飯を…と思って、出掛けてみた。
宿を左に出る。
門番がいて、入館する際に荷物チェックもある、そんな宿。
いい加減、顔を覚えて欲しいなぁ…なんて思いつつ。
何、食べよう…なんて思っていた矢先だった。
靴磨きの少年が目の前にいて、その後ろに小学生の低学年くらいの子が何人か。
でも、特に靴磨きも必要ないし…なんて思ったので、“いらないよ”と跳ね除ける。
手前の子はそそくさといなくなったけれども、何人かがまだ付いてくる。
ふと見ると、カバンのチャックが空いていた。
やられた。
もう明らかに分かった。
一番手前にいた子が、エチオピア航空の機内誌を持っていたので、それに目が行った瞬間だろう。
すぐに小さなカバンの中身をチェックしたが、きっと盗られたのは、ケータイだけだった。
もう顔も分からないし、身なりでは見つけられないだろう。
スグに周りの人が、声を掛けてくれる。
きっとここでは日常茶飯事の出来事。
声を掛けて来た人も、傍から見てすぐにモノを盗られたと分かったのだろう。
それくらい、ココでは日常茶飯事。
ダナキルツアーも終わって、帰るだけの身になって、気が抜けていた自分がいたのだろうし、“きっと自分は大丈夫”なんて思いが何処かにあったのかも知れない。
何と言っても、今まで、モノを盗られたコトはない訳だし(幾つかの未遂はボリビアとかであったけれども)。
ただ、盗まれたモノは、戻っては来ない。
そう思うと悔しい。
ただ悔しい。
すぐに念の為、警察に行ってみるが、この先、しばらくアディスに滞在しないのであれば、盗難証明が出せないと言う。
何ともフザけた話。
でも、だからと言って、無下にされる感じもなく、話だけはしっかりと聞いてくれたし、調書も取ってはくれるが、この警察署の人員に対して、事件の数が多すぎて、盗難事件の1つ1つを丁寧に扱っていられないと言う感じも。
まぁ、英語での対応なので、何処まで話が通じたのか、ビミョーな所ではあるけれども。
諦めるしかないのか…
そう思いつつも、何処か盗んで行った少年が戻って来る様な気がして、ピアッサの周辺をしきりに歩いてしまう自分がいた。
もし戻って来て、見付けたら、どうしよう…なんてコトは何も考えず、ただピアッサの周辺を歩く自分がいた。
この広いアディスアベバの町で、小さなケータイが戻って来るアテなんてナイに決まってる。
それが分かっているのに…
やがて帰路のラッシュアワーが終わって、
そして、どんどんピアッサにいる人も少なくなって来た。
諦めるしかない…
そう分かっているのに、どうも諦められない自分。
ケータイはまた買えばイイだけの話。
ロックも掛けてあるし、すぐにデータの削除もお願いしたし…
ケータイを盗られたコトに対するショックではなくて、ケータイを盗られた自分がいるコトが、ショックだった。
治安と環境の悪循環
自分が悪いのか。
盗んだヤツが悪いのか。
それとも、そうした環境が悪いのか。
どれもどっちと言う気にしかならない。
そもそも何が悪いと言い切れるだけの話ではないだろう。
でも、どうして日本は盗難が少ないのだろう。
教育?
それとも警察のチカラ?
それとも給与水準の高さ?
どれも正しいのかも知れないけれど、貧困に喘ぐ層が多ければ多いほど、盗難の確率は高くなる傾向にあるし、治安の悪化は避けられないのが世界の常。
ここエチオピアには中国の支援がいっぱい入っているけれども、治安や環境改善と言う意味では、もっと日本がチカラを貸せたりするのではないか。もっと支援が出来る分野なのではないか…
ふとそう思ってしまう。
小さな子が学校にも行かずに働かなければいけない環境。
それは悪循環を呼び込むだけ。
それを断ち切るシステムは何処にあるのだろう…
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