タイのピピ島マヤ・ベイ、立ち入り禁止は無期限に!

『ザ・ビーチ』で知られるマヤ・ベイは無期限立ち入り禁止に!

以前の記事で、2018年6月1日から期間限定で観光客の入域が禁止されていたタイのピピ・レイ(Koh Phi Phi Ley)のマヤ湾(マヤ・ベイ)ですが(詳しくは「『ザ・ビーチ』の舞台、ピピ島が期間限定で閉鎖に!」参照)、当初の予定では閉鎖期間は9月30日までの半年間の予定で、10月には閉鎖措置が解除になる見込みでしたが、海洋生態系の回復には、更なる時間が掛かるコトが判明。タイ国立公園野生動植物保護局(DNP)は、入域禁止の解除を停止し、無期限で閉鎖するコトを決めました。

ピピ島の「マヤ・ベイ」と言えば、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』で有名になった島。

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元々はアレックス・ガーランドの小説を元にした映画ですが、ディカプリオが演じるバックパッカーのリチャードが、バンコクのカオサンで奇妙な男と出会い、下界から完全に遮断された地上の楽園だと言う「ビーチ」を探す旅に出ると言うストーリー。

約20年弱前の映画な訳ですが、その後、知名度を高め、閉鎖される前までは、スピードボートが行き交い、多い日で1日4,000人もの観光客が訪れていたと言われてぐらいの観光スポットになるまでになっていました。

その結果として、サンゴ礁の大部分が消え失せ、かつて見られた海の生態系も失わってしまったと言う。

映画になった『ザ・ビーチ』は、秘境を求めて旅をして行く若者を描いた作品ですが、その映画がきっかけになって有名になった島が、人が増えすぎて、自然が破壊される様になるとは、巡り巡った感じがしなくもナイですが…

広くもない「マヤ・ベイ」。

許容限度を超えて、観光客が放免したコトによる「オーバーツーリズム」が招いた結果だ。

他にもタイで入域禁止になった島がある

タイを訪れた観光客は、2017年度で3,500万人強。
『ザ・ビーチ』が公開された2000年は、まだ1,000万人程度だったから、観光客が増えているのは、「マヤ・ベイ」だけではなく、タイ全体的な話ではある。

実は、日本ではそんなに話題に上らなかったと思うけれども、タイ当局は、近年、他にも観光客が増えたが故に、ダメージを受けた島を閉鎖していたりする。

ヨーン島(Koh Yoong)と、タチャイ島(Koh Tachai)だ。

タチャイ島は、ダイビングスポットとして人気が出ていた島だが、ゴミや食べ残しなどの放置に加え、ツアーボートから海へと流れ込んだガソリン、サンゴ礁の破壊と言った問題が起きていたが故に、生態系が著しく破壊されていると判断をし、2016年のモンスーンシーズン到来とともに閉鎖された。

両島とも、入域を禁止したコトで、海洋生態系とサンゴ礁が再び勢いを取り戻しつつあると言うが、自然環境相手の話な訳で、まだまだ一般観光客への開放は時間が掛かりそうだ。

「マヤ・ベイ」も今回、先の2島と同様に、入域を禁止し、自然環境の回復を待つと言うコトになる訳だが、増大する観光客をどうやってセーブするのか。

それは世界的にこれから課題になって行く話の様にも思う。

同じ時期にフィリピンのボラカイ島も観光客の入域が禁止されたが(詳しくは、「フィリピンのボラカイ島も最大半年、観光客入島禁止に!」を参照)、こちらは10月から段階的に解除される見込みだが、このままでは同じ道を辿るのかも知れない。

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オーバーツーリズムは世界的な潮流だが…

「オーバーツーリズム」。

それに対するには、まずは、観光客1人1人の意識を変えて行くべきなのだろう。

そして、現地の業者を含め、総合的に環境を守って行く仕組みがなければ、これからも同じケースが出て来ても不思議ではない。

ただ観光客は、いくつもの国々から訪れて来る訳で、その意識の程度も異なる訳で、最低限度の意識を付けた上で、それを実行に移して貰うと言うのは、何かしらの仕組みがなければ難しい話になるかも知れない。

そして、「オーバーツーリズム」は対自然だけに当てはまる訳でもナイ。

都市部であっても、観光客の増大に向き合えなければ、ある一定の水準からはデメリットを生むばかりになる。

そして、デメリットが観光客からすれば不評に繋がると言う悪循環に陥るコトになる。

都市部であれば、スペインのバルセロナが「オーバーツーリズム」の筆頭格だろう。

バルセロナ市の人口は160万人に対して、年間観光客数は約3,200万人にも及ぶ。
つまりは人口の約20倍の観光客が訪れている計算になる。

バルセロナ中心部にあり、観光客が溢れるランブラス通りは年間1億人が通行すると言われているが、その内の8割近くが観光客と言う統計があるぐらいだから、その混雑は異常に近い。

観光客による混雑、そして騒音。

さらに観光客向けの宿泊物件は増える一方で、市民向けのマンションなどが不足し始め、賃貸料が上昇をすると言う流れに。
2015年7月~2017年7月まではホテルの建設すら制限すると言う都市戦略が進められるぐらいに、観光客の抑制が行われていた。

但し、バルセロナの場合、既に観光業がGDPの12%を担っていて、大きな産業になっているという側面もあり、そのバランスが難しくなっているのが現状だが、このまま何もしないでいると、更に観光客が増えていくのは、明白だろう。



日本で言えば、都市部だと京都が筆頭格。
そして、そろそろ沖縄あたりも「オーバーツーリズム」の声が出て来るのかも知れない。

タイ当局は、今回、閉鎖の無期限延長と言う英断を下したが、日本の場合、それが出来るのか。

恐らく、難しいだろう。

そうなる前に、どう言った手が打てるのか。

インバウンドがもてはやされる中で、持続可能な成長を観光業がして行くには、どう言った形があるのか。
日本も、そろそろ考えていくべきなのかも知れない。

今回のピピ島の「マヤ・ベイ」の閉鎖は、そこだけの話じゃない。

どの観光地でも、今後、そう言ったコトが起こりうる訳で、自然環境の中でも、都市部でも、もっと考えながら旅をしなければいけない時代なのでしょうね。

旅は楽しい。

だけれど、それに浮かれているだけじゃなくて。

でも、例え、世界が観光客で溢れて、旅がしにくくなっても、きっとボクは旅をするんだけれどもね。

「それでもバルセロナに行ってみよう!」的な記事はコチラもチェック!






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