50億ドル融資の担保はマイレージプログラム!
ちょっと前の記事で、アメリカ大手航空会社のユナイテッド航空が、起債を中止した記事を書いた(『ユナイテッド、起債中止!仮に破綻したら、マイルはどうなる?』)。
この時は、総額22億5,000万ドル(約2,400億円)の3年債・5年債だったが、利回りの上乗せを求める投資家との間で、条件が折り合わなかったのが理由だった。
その後、少しは旅客需要が回復傾向だけれども、未だに手持ち資金が流出しているのは間違いがない状態なのに、どうするんだろう…と思っていたら、新たにゴールドマン・サックス、バークレイズ、モルガンスタンレーシニアファンディングが共同でユナイテッド航空向けに融資枠を設定したとのコト。
主幹事は、ゴールドマンサックスでだが、かなりの名だたる機関が揃った協調融資と言うコトになる。
その融資枠の額が、50億ドル(約5,400億円)。
かなり巨額な額で、どうやってそれが実現するんだ?と思ったら、マイレージを担保にするとのコト。
は?
マイルって担保になるの?
全然、意味が分からないで、思わず、ポカーンと考えてしまいました。
会計上は、どうなるんだっけ?
そもそもユナイテッド航空のマイレージプログラムは、約200億ドル規模の価値を持つとの話で、そこを担保にする訳だけれども、そもそもマイルって航空会社から見れば、資産ではあるけれど、負債じゃないのか。
ふと、そう思う訳です。
ただ会計上は、恐らく、マイルを付与した時点では、会計処理は行わなくてOKなハズ。
[speech_bubble type=”rtail” subtype=”L1″ icon=”tabikazu01-i.jpg” name=”たびかず”]もっとしっかり簿記、学んでおくべきやった…[/speech_bubble]ユナイテッド航空のマイルは、無期限で貯められるから、未使用分についても、債務確定がされていないから、引当金科目を借方・貸方に計上するだけで、税務上の損金扱いでなくても行けるんだと。
実際に、使用される時に販促費的な借方科目での処理を行うだけ。
そう考えると、将来的には債務だけれど、税法上は損金にはならないのかな。
アメリカも同じ考えなのかどうかは、知らんけど。
でも、一番の疑問は、協調融資を行なう金融機関は、仮にこの融資の返済が滞った際、担保として得ているマイルを、どうするの?とも。
これが不動産だったら、売却するコトができる。
何らかの証券だったり、知的財産でも同様に売却益がある。
でもマイルだと、そもそもその航空会社が生き残っていなければ、単なる数字でしかなくなる訳だけれども。
いや、そもそも今回の担保って、マイルじゃなくて、マイレージプログラムと言う形に対しての担保なのかな?
なんか、その辺りも分からないですね。
マイルだったら、消費者が権利を持つモノだろうから、勝手に担保にも出来ないだろうし。
でも、実際に担保になる。
しかも巨額融資の担保。
なんかスゴイな…と。
政府融資を併せると、手持ち資金は充分か
さらにユナイテッド航空は、アメリカ政府によるコロナウイルス救済融資プログラム(CARES)を通じて調達ができそうな45億ドルがあるから、これらを合わせると、かなりの金額の手元資金を確保出来るコトになる。
さらに自主休暇ならびに自発的な退職・役員給与削減などの支出削減も行っているので、6月末時点での1日あたりの現金流出額は、4,000万ドルに及んでいたのを、9月末には3,000万ドルにまで減らす計画でいる。
4~6月期の売上は、前年同期比で88%減だが、旅客需要の回復次第では、年内にも何とか損益分岐点まで回復する可能性もあるとのコトで、ようやく光が見えてきた感じですね。
でも、マイレージプログラムを担保にまでしなければならない程に、状況は宜しくないとも言えるのでしょうね。
なので、油断は禁物なのでしょうが。
コメントを残す