水害で不通が続く美祢線の廃線が事実上、決定
2023年6月末から水害で運休が続く山口県を走るJR西日本の「美祢線」の、鉄道での復旧断念が事実上決定しました。
今後はバス高速輸送システム(BRT)での復旧の検討を進めていく形に。
理由としては、まず鉄路の復旧は長期間に渡り、かつ財政負担の面から現実的ではないと言うコト。
既にバスでの代行が2年を超えており、一刻も早い本格的な復旧を望む声に押された形でもある。
と言うのも、鉄道での復旧には約10年が掛かるとされていたため。
さらに気候変動を考えると、仮に鉄道で復旧したところで、再度、被災する恐れもあり、沿線3市や地元経済団体などからは、鉄道での復旧を求める意見はなかったとのコト。
なお、BRT化した場合は、湯ノ峠~厚保間の内の約4.2kmを専用道化する計画。
貨物を主体に栄華を誇った路線だが…
かつては貨物輸送を中心に栄華を誇った「美祢線」。
急行列車も走り、行き違い設備も多く、さらに支線も持っていた路線だが、今や急行列車もなく、支線もなくなり、貨物輸送もなくなり、ローカル路線と化していた。
そこに水害。
湯ノ峠~長門湯本間の約37kmの区間で、橋が流出・盛り土の流出など合計80ヶ所が被災し、復旧検討部会では、鉄道での復旧には58億円以上が掛かるとされた。
さらに年間の運営費用は5.5億円以上で復旧まで最低10年と言うコトも示されていた。
運行されていた時の実績としては、営業損益は3.8億円の赤字(2021~2023年度平均)。
それ以外の年度も4億円を超える赤字を出しており、収支率は10.9%。
2023年度の平均通過人員は300人。
確かにこれで鉄道での復旧となると、よほど地元の熱意がなければ…と言う感じだが、そもそも地元も過疎化が著しい状態で、復旧費用を計上できるだけの余裕はなく、輸送量が増える気配もない。
と言うコトもあり、BRT転換と言う流れ。
ただBRTにしたところで、復旧費用は約55億円と見積もられていて、かなり高額。
さらに年間の運営費は約2.5億円で、赤字運営から脱却できる感じでもなく、今後も予断を許さないと言う感じではある。
地元の利用が少ないのであれば、観光輸送にもう少しウェイトをおいても良かった路線だとは思う。
長門・仙崎だと新山口からだと不便で、「美祢線」の利用がメインになっても良い訳だし、秋吉台・秋芳洞と観光地はある。
さらに「美祢線」の起点になる厚狭には新幹線も走っている訳で、もうちょっと伸ばすコトができたようにも思えるのだが、そうは言っても焼け石に水と言う感じにはなるのだろうなぁ…とは。
地方の交通網の維持は急務だが…
BRT。
と言っても、専用道路になるのは、並行して走る道路がない湯ノ峠~厚保間だけ。
まぁ、実質的に通常のバス転換と言えそうな感じ。
ただ鉄道網と言った化した運営がなされると言うコトと、JRによる運行が継続されると言うのがメリットとは言えそう。
地方での公共交通網の維持。
既にそれは大きな課題になっているけれど、別に参議院選挙で争点にもなっていない。
今の首相は、地方創生にも興味があったと思うが、特に目立った成果や政策がある訳でもなく…
少子化。
過疎化。
バス転換しようにもバスの運転手すら見つけられなくなっている今。
鉄道も地方では既に、運転士不足による減便が実施されているところもある。
妙案がある訳ではないけれど、そろそろ国主体での立て直し策が検討されても良いように思うのだが…






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