売上高が2兆2600億円に到達
「ANA」を傘下に持つANAホールディングスが、2025年3月期の通期決算を発表しました。
純損益が1,530億円の最終黒字を計上していますが、ひとまず、具体的な数値を見てみると、こんな感じ。
2025年度3月期 | 対前年度比 | 2024年3月期 | |
売上高 | 2兆2,618億円 | +2,059億円 | 2兆559億円 |
営業利益 | 1,966億円 | ▲112億円 | 2,079億円 |
経常損益 | 2,000億円 | ▲75億円 | 2,076億円 |
当期純利益 | 1,530億円 | ▲40億円 | 1,571億円 |
売上高だけで見ると、過去最高を更新して2兆2,618億円。
特に本業の航空関連が堅調で2兆587億円の売り上げに達すると言う数字で自己資本比率も31.2%に回復。
当初の計画を上回ったコトで、配当も1株当たり60円に増配(前期は50円)するなど、ホント、力強い決算内容と言う感じ。
国際線の売上も1割増
セグメント別の売り上げを見て見ると、こんな感じ。
セグメント | 2025年度3月期 | 2024年度3月期 | 対前年度 |
国際旅客 | 8,055億円 | 7,281億円 | +10.6% |
国内旅客 | 7,039億円 | 6,449億円 | +9.2% |
国際貨物 | 1,873億円 | 1,555億円 | +20.5% |
LCC(ピーチ) | 1,393億円 | 1,380億円 | +0.9% |
LCC(AirJapan) | 117億円 | 12億円 | +803.9% |
国際線の旅客が絶好調。
コロナ禍で開設を見送っていた羽田~ミラノ・ストックホルム・イスタンブール線を新規で開設しているほか、羽田~ウィーン・パース線も復便しているコトと、好調な訪日需要を取り込めたと言う感じ。
ただ新路線や運航再開があった国際線は、それでも10.6%増。
逆に国内線は特に増便とか目立つ動きがあった感じでもないが、9.2%増。
インバウンド客を取り込んだと言うのか、それとも単価を上げてきているのか、どちらなのだろう…?
但し、利益ベースでは整備費ならびに人件費などが増加し、減益。
国際貨物もアジア・中国~北米間の需要を取り込んだコトで大幅増。
LCCはピーチが国内線→国際線へ機材を振り分けたコトで、売上高は増。
但し、旅客数は2.6%減、座席利用率も2.2ポイント減少。
AirJapanは、初の通期での決算になるが、利用率を見ると69.3%なので芳しい状況とは言えなさそう。
AirJapanの座席利用率は70%弱
2026年3月期は、売上高は過去最高を更新する2兆3,700億円の計画。
但し、営業利益は116億円の減となる1,850億円、当期純利益は310億円減の1,220億円での予測で発表になりました。
利益の減少は、減免・補助金の減少などによる費用増加を挙げている形。
特に新規の路線開設などの計画は発表がなかったが、貨物事業については、日本貨物航空の連結化が控えている状態(但し、何度も延期になっている)。
今回の決算で気になったのは、まずは旅行事業が停滞したと言う点。
ダイナミックパッケージは国内での集客が伸び悩み、事業として売り上げが前期比6.3%減で営業利益も1億円に(同85.9%減)。
物価高で諸々の販売価格が高騰している中で、売上が減っていると言うのは、ちょっと厳しい感じがするのだが、どうなのだろう。
国際線の新規路線開設もあり、単価の高い国際線の需要は取り込んでいると思うので、国内旅行事業の推移が相当、宜しくないのかも知れない。
また、AirJapanも気になるところ。
まだ機材が2機のみで、路線も成田~ソウル・バンコク・シンガポールの3路線のみなので、売上の寄与が少ないのは仕方がないのだけれど、座席利用率が70%を切っていると言うのは、正直、痛いように思える。
恐らく、他のLCCとの競争が激しいソウル線を除いた東南アジア2路線で見れば、もうちょっと利用率は上がるのでしょうが、どのぐらいなんだろうなぁ…と。
そして何よりも気になるのは、前年度に売上高が過去最高。
今期も過去最高を更新する形になったのに、減免措置と補助金の減少で来期の減益予想と言う点。
確かにコロナ禍での傷は深いし、未だに有利子負債も多い訳だけれど、この決算まではしっかりと減免措置や補助金が入っているのね…と。
まぁ、とは言っても航空業界が元気にならないと、旅行産業(特に海外旅行)は活気が出てこないので、この決算を引っ提げて、何とか路線網の拡大を目指して欲しい感じ。
まずはまだ運休になっている路線の再開をして欲しいけれど、もう復活しないのかな?
ヤンゴンは、地震もあったし政情的な部分も大きいけれど、カンボジアは復活させる気がないのだろうか…
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