始発繰り下げ、終電繰り上げも実施!
熊本で2路線を運行している「熊本電鉄」が、2025年2月3日にダイヤ改正を行うコトを発表しました。
ダイヤ改正の中身としては、現行から3割近く減らす減便ダイヤ。
初電は最大30分の繰り下げ。
終電は最大55分の繰り上げ。
かなり影響が大きそうな感じがするダイヤ改正。
具体的に見てみると、
- 藤崎宮前~御代志
- 朝夕ラッシュ…15分間隔→20分間隔
- 昼間・夜間…30分間隔→30分間隔
- 御代志→藤崎宮前始発…6:26→6:36に繰り下げ
- 藤崎宮前→御代志終電…23:00→22:35に繰り上げ
- 上熊本~北熊本
- 終日…30分間隔→40分間隔
- 上熊本→北熊本始発…6:20→6:50に繰り下げ
- 上熊本→北熊本終電…21:55→21:10に繰り上げ
と言う感じ(始発・終電は平日の月~木曜ダイヤ)。
運行本数で見ると、
- 平日|月~木曜…159本→121本(▲38本)
- 金曜…161本→121本(▲40本)
- 土曜…148本→97本(▲51本)
- 日曜・祝日…120本→91本(▲29本)
と言う形。
減便の理由としては、新たに3人の運転士が退職するコトになったため。
既に、「熊本電鉄」は、本来の定員は9人なのに対して、現行でも常勤7人と他部署にいる免許を持つ応援運転士で何とか運行している状態。
そこにさらに今後、3人が抜けるコトで、現行ダイヤでの運行が難しくなったと言う話。
いや、その人数がいなくなるとすれば、さすがに無理なのは分かるけれども、かなり深刻な人材難と言う状態である。
1人足りないとか、2人足りないとか、そう言うレベルでないのだから。
最近だと、熊本~鹿児島間を走る第3セクター鉄道の「肥薩おれんじ鉄道」も運転士の確保が困難なためとして、2025年2月1日から平日上下5本、土日祝日は上下2本の減便を発表していますが、今後、こうした動きが他の鉄道各社にも波及して行く形になりそうですね。
ただ残された人に、過度なしわ寄せがいかないコトを願うばかり。
そして、別に退職される方を責める気にはならないけれど。
新卒初任給が165,500円~だが…
具体的に「熊本電鉄」の2026年新卒鉄道運転士見習いの募集要項は、こんな感じ。
- 資格…2026年3月に大学・短大・専門学校・高専を卒業見込みの方(もしくは既卒3年以内)で視力が各眼0.7以上、両眼で1.0以上(矯正可)
- 給与
- 単独乗車前…基本給165,500円~+各種手当
- 単独乗車後…176,000~183,000円+各種手当
入社後1年間は、免許取得のための研修期間になるかたち。
乗務手当は1日乗車当たり600円。
時間外手当アリで、月平均残業は10時間程度になっています。
中途採用として、平日限定鉄道運転士なども募集されていましたし、会社説明会(WEB)も実施されていますが、肝心の給与面では改定がなかった感じ。
今、大手の企業はどんどん初任給が上がっている。
ファーストリテイリングが、+30,000円の330,000円に。
東京海上日動火災保険は、最大410,000円に(転勤・転居アリが条件)。
三井住友銀行は、+45,000円の300,000円に。
名前の知られた企業は、初任給が300,000円以上と言う時代。
それを考えると、やはり職種が動かなくなるのも無理はない。
鉄道の運転士なんて、かつては“子供の頃になりたい職業”の上位だったけれども、今や見る影もなくなっている感があるが、これらの企業と競り合わないと、もう人材の確保ができない時代になっていると言うコト。
でも、今の鉄道業界にはたして、この金額を出せる企業があるのか…とも。
後手に回っている感は否めないが…
少子化。
それに伴う人材難。
それは今後、ますます顕著になって行く話。
解決策は給与水準を大幅に上げるコトか、そもそも少子化に歯止めが掛かるかのどちらかぐらい。
それでなければ、自動運転の実施と言うレベルになってしまうけれども、どの策も今の地方鉄道では困難な話。
ただ給与だけでなく、勤務体系が不規則なコトとかも含め、今までとは違う勤務体系を作って行かなければならないのは確かなのでしょうね。
その余力があるうちに。
でも今回、減便ダイヤを発表した「熊本電鉄」は、そのレベルを通り越しているかな…と言うのが正直な感想。
寧ろ、ここまで人が足りていない状態で、よく運行が継続で来ていたな…とすら感じてしまうし、明らかに後手に回っているよな…とも。
ただ妙案がないのも事実。
人材って、いればいい訳ではなくて、育てていかなければならないモノだけれど、そもそも育てる人がもう圧倒的に足りてないんだから。
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