電車特定区間と山手線内は幹線に統合!
「JR東日本」が、国土交通大臣に2026年3月の運賃改定を申請しました。
ひとまず申請した内容から見ると、こんな感じ。
- 初乗り運賃…現行150円→160円
- 普通旅客運賃…平均7.8%の改定
- 首都圏に設定しているより低廉な「電車特定区間・山手線内」の運賃区分を「幹線」に統合
- JR他社に跨る際の運賃に、新たに通算加算方式を導入し、加算額を設定
- 通勤定期運賃…平均12.0%の改定
- 通学定期運賃…平均4.9%の改定(幹線・地方交通線は据え置き、割引率を拡大)
- 特定区間の普通運賃・定期運賃は一部を除き廃止
- 東京~熱海間でJR東海が運営する東海道新幹線と、JR東日本が運営する東海道線の同一線区の取り扱いを終了(別線区としての取り扱い)
改定の理由としては、安全・サービスの維持向上・設備の更新・バリアフリー拡充・災害への対策を進めるためとしています。
現行の「JR東日本」の運賃体系は、幹線・地方交通線・電車特定区間・山手線内の4種類。
旧国鉄時代から引き継いだ形だが、この中で「電車特定区間」・「山手線内」は他の事業者との競合などを勘案して、「幹線」運賃よりも割安に設定されたモノ。
まずは、これを「幹線」に引き上げるコトで、シンプル化すると言う形に。
またICカードを利用する場合は、1円単位、従来のきっぷを利用する場合は、10円単位での運賃体系だが、「幹線」・「地方交通線」を利用する場合、ICカード運賃ときっぷでの運賃は、どちらが高くなるのかはその線区によって異なっていたのを、ICカード運賃が安くなるように揃える形に。
具体的に、主な線区の運賃がどうなるのかを見てみると、こんな感じ(東京駅からの運賃)。
行先 | 現行運賃 | 改定後運賃 | ||
ICカード | きっぷ | ICカード | きっぷ | |
新宿・渋谷・池袋 | 208円 | 210円 | 253円 | 260円 |
八王子 | 824円 | 830円 | 902円 | 910円 |
横浜 | 483円 | 490円 | 528円 | 530円 |
大宮 | 571円 | 580円 | 616円 | 620円 |
千葉 | 659円 | 660円 | 715円 | 720円 |
柏 | 571円 | 580円 | 616円 | 620円 |
甲府 | 2,310円 | 2,310円 | 2,420円 | 2,420円 |
熱海 | 1,980円 | 1,980円 | 2,090円 | 2,090円 |
東京~新宿で260円(ICだと253円)。
八王子で910円(ICだと902円)、大宮で620円(ICだと616円)。
なんか随分と高くなった気がしますね。
横浜まででも500円を超えてきますし。
分からなくもないです。
そもそも値上げもずっと行われてきていませんでしたし、物価も人件費も上がっていますからね。
ただシンプルにすると言いながら、特定区間は12区間では残す(東京~西船橋、新橋~逗子、品川~横浜・逗子、新宿~八王子・高尾・拝島、渋谷~横浜・吉祥寺など)と言うのは、やはりナンセンス。
利用者としては嬉しい話ですが、結局のところ、値上げしやすいところで値上げをすると言う感じしかしなくなっちゃう。
さらに「幹線」に統合してく訳ですが、その「幹線」の定義も再構築する訳じゃない。
青梅線の青梅~奥多摩間の2023年度の平均通過人員は、3,605人なのに「幹線」区分。
でも28,460人いる八高線の八王子~拝島間は、「地方交通線」扱い(この数字は上越新幹線の高崎~越後湯沢間を超えるレベル)。
八高線なんて拝島~高麗川間ですら、14,046人はいるんですけれどもね(まぁ、八高北線は2,753人なので全路線で考えると、確かに劣りますが)。
どうせならば、旧態依然と化した「幹線」の区分も再構築すればいいのに…と。
確かに青梅線は末端区間は「幹線」とは言い難いけど、立川~青梅までは「幹線」と言い切れる輸送人員だが、もうひとまとめに路線名だけで区切るのは、無理があるのでは…?と。
地方の路線だと、もう全然、「幹線」と言い切れない路線も多くなっていると言うのに、まだ都心部での利益からの補填だけで成り立たせるつもりなのだろうか…と。
通算加算方式を導入するのは、分かる。
そもそも別会社ですしね。
でも東京~熱海間で東海道新幹線と東海道線とを別線区扱いにすると言うのであれば、新幹線全てがそうなるべきなのでは…?と。
そもそも新幹線は在来線と対になっていて、実距離よりも高い運賃額の設定になっているのは、やっぱりおかしな話だなぁ…と。
JR西日本とは真逆の結果に…
「JR西日本」も大阪近郊路線での運賃改定を予定している。
でも、結果は真逆。
「JR西日本」も確かに「大阪環状線」区分はなくすので沿線では値上げになるが、「電車特定区間」を拡大させ、「幹線」区分を縮小させるコトで、値上げになる確率はガクンと下がる。
関西圏は競争が激しいので…と言うコトなのだろう。
やはり消費者側にとっては、競争と言うのは大事ですねってコト。
首都圏は、競争原理があまり鉄道業界だと働いていないと言うのが、如実に分かる結果になりそう。
人件費も上がっている。
物価も上がっている。
その割に長年、運賃の改定がない。
そうした中で、投資を続けなければならず、ある程度の値上げはやむを得ない気もするが、随分と高くなったな…と言う印象を、どうしても受けてしまいますね。
コメントを残す