ピーク時から比べると7%の利用に!
青森県の「弘南鉄道」が、大鰐線(大鰐~中央弘前間13.9km)について、2027年度末で運行を休止し、路線廃止向けた手続きを進める考えであるコトを示しました。
元々、大鰐線は、1970年に弘前電気鉄道から「弘南鉄道」が経営譲渡を受けた路線。
沿線住民の減少に伴う利用客減。
さらに電気料金の高騰などもあり、今後も収益の改善が見込めないと言うのが、廃線に向けた理由。
1974年度には、年間約390万人いた利用客。
それが2023年度には、27万1,777人にまで減少。
ピーク時からすると、約7%。
経営譲渡以来、赤字が続いており、沿線2市町(弘前市・大鰐町)から財政支援を受けての運行が続いていたが、2020年に「弘南鉄道」の沿線自治体などが定めた維持活性化基本方針では、
2023年度末の営業成績で中長期計画に基づく収支改善がなされない場合、支援は2025年度までとする
としていた。
が、2023年度の営業損益は1億3,068万円の赤字。
支援永続の条件も満たせていない状態ではあった。
沿線の弘前市・大鰐町も、今回の方針には異論がないとのコトで、事実上の配線が決定事項となった形(と言うか、大鰐町としては、支援するにも財源が全くないだろうし…)。
沿線には高校・大学もあるが…
「弘南鉄道」は、現在、2路線を運行しているが、長年、弘南線の黒字で、大鰐線の赤字を補うと言う体質が続いてきた。
それが、弘南線も2017年度から赤字体質に。
さすがに年間27万人の利用では、正直、鉄道として維持して行くのは、厳しいモノがある。
1日平均にすると750人程度。
運行本数を考えると、1便で平均20人ほど。
通学・通勤での利用があるコトを考えると、昼間はほとんど利用がなかったのでは…?と言うのが、正直な感想。
弘前市は、県庁所在地ではないですが、大学も多く、国立大学の弘前大学、さらに私立の弘前学院大学などもある。
そして「弘南鉄道」沿線にも、高校も多い。
中央弘前は、弘前市の旧市街地にも近い。
だが、大学は「弘南鉄道」の利用に繋がっていないし(沿線に存在はしているけれども)、そもそも大鰐町の人口が少なすぎるし、さらに弘前~大鰐間はJR線も走っているコトを考えると、全線通しの需要は高くなく、高校生の通学がメインになっている感じ。
寧ろ、今までよく経営を維持して来たな…と言いたくなるレベル。
仮に中央弘前ではなく、ターミナルがJRとの接続ができる弘前であっても、路線の存続は厳しいでしょうとしか思えないかな…と。
地方鉄道に生き残る道があるのか?
踏ん張って来た「弘南鉄道」。
それでもやはり大鰐線の維持ができなくなった。
もうこの先、どの地方鉄道も、似たような感じになって行くのだろう(いや、もう既になっているとも言えますが)。
特に県庁所在地を走らない地方私鉄なら、当面は安泰と言えそうなのは、遠州鉄道ぐらいでしょうか。
県庁所在地を走っている地方私鉄でも、安泰なのは静岡ぐらいな感じがある。
最後は、やはり地元住民の熱意と、自治体次第。
特に、地方自治体は、税収が細ってきているので、補助金を出せるところが限られてきているのも、地方鉄道にとっては、悩みの種になりそう。
黒字を出すまでにはいかなくても、許容できる赤字額に抑える。
その為には、やはり鉄道本体のブラッシュアップも当然ですが、確実に利益を出せるような副業の開発も急務なんだろうなぁ…と。
まぁ、それができれば、既にやっているんだろうけれど、銚子みたいに地域だけでなく、外からも呼び込めるような副業となると、なかなか簡単にはできないだろうし。
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