大糸線、JR西区間、今後を見据えた論議に!
JR西日本が、2022年2月3日、大糸線の南小谷~糸魚川間について、3月から「持続可能な路線としての方策について幅広い議論」を行なうコトを明らかにしました。
大糸線は、全長だと105.4kmの路線ですが、南小谷を境にJR東日本と西日本の2社線に分かれている路線で、この内の、JR西日本の全区間が今回の議論の対象になると言うコトです。
議論の行方によっては、バス転換と言う流れも見えて来るだけに、今後、議論の行方は気になるところではありますが、元々、閑散路線。
JRが発足した1987年度には987人あった輸送密度も、2020年度は50に過ぎず、これは全国的に見てもトップレベルの低さで、JR西日本管内だけで見たとしても、芸備線東城~備後落合・木次線出雲横田~備後落合間に続く3番目の低い数値。
先日の記事で、廃止が事実上決定したJR北海道の根室本線富良野~新得間の57よりも低いと言う有り様。
ピークは1992年度で、そこから比べると実に90%以上の減少と言うコトになっており、もうかなりの減少と言うよりも、ほぼ需要がなくなったに近い。
なので、旅客運輸収入もJR西日本ではワーストになる1,000万円足らずと言う現状。
これで鉄道としてこの先も営業を続けると言うのは、至難の業と言う感じは否めないが…
地元自治体は寝耳に水?
今回の流れを受けて、糸魚川市の市長が、
廃線などと言う話はこれまで一切なく、寝耳に水で遺憾で残念だ。バス路線に変更と言うコトならこちらのスタンスも変わってくる。どう言うコトなのか確認したい
と記者会見を行い、大糸線の意義についても、
北陸新幹線との連携や大量輸送の点で有益だと思っている。雪を活かしたインバウンドの呼び込みなどコロナが終息したら交流人口の拡大を進められる
とも語っている。
確かにいきなり出て来た話ではあるが、これだけ輸送人員が低調なのに、こうした動きが出て来るコトを考えてもいなかったのであれば、そもそもどうなの?と言う感じはある。
もちろん、地元自治体として定期券の補助やイベントなどで利用促進に努めてきたのは事実だけれども、それが年度を通して数値に表れておらず、大量輸送の点から有益と言うが、最早、鉄道として必要なレベルの輸送量でないのは明らか。
しかもコロナ前から需要は落ちていて、それが長期間、続いているのだから、コロナが終息したら…と言うのも、ナンセンス極まりない話。
かつては、シュプール号などで関西のスキー客を運んだ区間。
だが、既にシュプール号が運転されなくなって久しく、スキー人口自体も落ちている状態。
さらに大糸線の場合は、北陸新幹線の開業で北陸本線が第3セクターに経営分離されたコトで、JR西日本の在来線としては孤立している状態になり、効率も悪い。
JR西日本としては、残す意義に乏しい。
それは事実だろうな…と言うのが正直なところ。
上下分離しても、需要は少ないのが現状だが…
そもそも地元民が乗っていない。
数少ない需要も、鉄道ファンと観光客が大半を占めていると言われている区間。
そうした状況下にあって、今回の議論の場を、地元側がどう盛り返すのか。
一番の効果的なのは、上下分離だろうと思う。
それでも共に赤字は残るように思うレベルだけれども、そうすればまだ廃線は免れる可能性が高いように思う。
ただそもそも日本の地方自治体はお金がない。
そして、少ない需要の為に税金を投入すると言うのも、議論が出て来る所だろう。
ましてや、バス転換しても賄えるだけの需要しかない訳だから。
そこまでできるか…
それが地元の総意になるのか。
その辺りは分からないけれども、上下分離をする代わりに、関西圏からのシュプール号の復活などの条件を付ける…などのウルトラCの施策がなければ、鉄路としての使命は見出せないように思う。
さて…
どうなるコトやら。
風光明媚な車窓も味わえる区間だけれども、それだけで鉄路は守れない訳で。
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