H.I.S赤字転落!
大手旅行会社の「H.I.S」が2020年4月中間決算で、最終損益が34億6,000万円の赤字に転落する見通しを発表しました。
「H.I.S」の半年間の業績予想は、3月の発表では下方修正して8億円の黒字での予測だった訳ですが、一気にさらに悪化するコトに。
これはコロナウイルスの感染拡大に伴う旅行の自粛・入国制限に加え、グループ会社の「ハウステンボス」が休園したコトによる利用者の激減による影響が響いたモノ。
また東京オリンピック・パラリンピックの延期も大きいと見ており、2020年10月期通期の業績見通しについては、最終損益は従来、11億円の赤字になるとしていたが、海外旅行の回復の見通しが立てられない状況で、どの程度、影響が出るかを精査している段階で、「未定」としました。
ま、特に「H.I.S」は海外旅行に強いので、この赤字はそもそも想定出来る話ではありますが。
海外旅行が前年度比1.2%!
ただどの程度の影響が出ているのか。
「H.I.S」は、月間で取扱高状況を出しているので、ひとまず4月分を見てみます。
区分 | 取扱高 | 前年同月比 |
海外旅行 | 465,050 | 1.2% |
国内旅行 | 225,044 | 4.3% |
訪日旅行 | 5,574 | 0.2% |
合計 | 695,670 | 1.5% |
(単位:千円)
ヒドイ状況ですね。
もう目も開けていられないぐらいに。
主力の海外旅行が、前年同月比で1.2%。
最初に見た時、1.2%減なのだと思ってしまったぐらいです。
逆に、この鎖国状況にも関わらず、海外旅行区分でもこれだけ取扱高がある方が、驚きと言うべきか。
海外旅行の方面別で見ても、アジア・オセアニア/南太平洋・ハワイ/ミクロネシアが前年同月比で1%以下。
北中南米が1.9%。
欧州/中近東/アフリカで2.9%と、総崩れ。
店舗販売に至っては、前年同月比で0.8%程度の取り扱いと、散々ですが、恐らくこれはどの旅行会社も似たり寄ったりでしょうね。
ハウステンボスも苦境に!
ハウステンボスとグループ各社の連結業績も発表になっていますが、こちらも第2四半期のグループ連結だと、取扱高で前年比70.5%の105億8,300万円。
単体での決算では、辛うじて6億4,900万円の経常利益を出しているが、コロナの影響で、2月29日~3月15日と4月6日~5月15日の2度に渡り、休園しており、より休園期間が長い4~5月分は、第3四半期の決算に乗って来るので、こちらも厳しそう。
さらにハウステンボスで言えば、5月16日から営業を再開するものの、6月18日までは県内在住者限定と言う状態で、中間連結経常損益が1億2,700万円の赤字に転落。
また、通期でも赤字に転落する見込み。
これは「H.I.S」の傘下になって以来、初めての話。
この赤字を受けて、元々、2022年の上場を目標として掲げていましたが、これを1年以上遅らせることを明らかにしました。
H.I.Sだからできるコトに期待!
旅行業は、世界の情勢に日所に左右されやすい業界であるのは、紛れもない事実。
その中で大手の「H.I.S」ですらこの状況であるから、中小はもっと厳しい状況になっているのだろう。
個人的に言えば、「H.I.S」には頑張って欲しい。
そう思う。
日本における格安旅行や格安航空券をメジャーにまで持って来た会社であるのは、事実だろうし、スカイマークを創業し、ハウステンボスも黒字基調に乗せるなど、観光業に与えた功績は大きい会社だとは思う。
ただ既に「H.I.S」は旅行会社の中では大手。
安さを売りに生まれて育って来たけれど、既に“格安”でもないフツーの旅行会社になって来ている。
旅行会社と言う業態が、もう時代遅れになって来ている中で、これからの旅行会社の在り方を再度、生み出して欲しいなぁ…と。
逆に、今回の決算は赤字だったけれど、「H.I.S」はそれができるだけの体力を残している会社だとは思うし、「H.I.S」だからこそできるコトを、期待したいですね。
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