経営改革は、ずっと未達成のタイ国際航空
タイ政府は、国営のタイ国際航空について、当初の救済計画を撤回し、破産法に基づく会社更生手続きの申請を行なうコトが明らかになりました。
コロナウイルスの影響で、タイ国際航空に限らず、タイ発着の国際線旅客便は全便がストップしているタイ。
タイ政府としては、581億バーツ(18億1,000万ドル)の融資保証に応じる可能性もあり、救済措置が取られる可能性が高かったのですが、どうもそうならない見込み。
とは言っても…です。
タイ国際航空って、ずーっと赤字を垂れ流している状態。
別にコロナ云々じゃないんですよね。
株式の51%を対財務省が持っている訳ですが、2012~2018年の累計損失は約540億バーツ。
これに対して、経営改革を進めてはいるのですが、2019年の営業損失は、124.2億バーツ。
経営改革を進めているのに、前年の90.6億バーツからちゃっかり赤字額が増えると言う状態(純損失は120.4億バーツ)。
2019年で言えば、旅客数は2,451万人で、前年比0.8%増。
搭乗率も79.1%で前年77.6%より改善。
でも、売上高は1,840.5億バーツで前年比7.7%減。
旅客数も増え、搭乗率も上がっているのに、売り上げが減り、赤字額が増える。
もう典型的な競争激化状態で、それに巻き込まれていると言う状態なのが分かりますね。
労組と利権構造を破れず…
そして改革が進められないのは、タイ国際航空は、国有企業特有の利権構造があり、そこに労組のチカラも大きく、それをなかなか破れないでズルズル来ていると言う感じ。
で、結局、今回の赤字決算の責任を取る形で、2020年4月11日付で、スメート・ダムロンチャイタム社長が辞任。
2018年9月に就任した社長なので、在任期間は1年半程度でしょうか。
短いですよね。
これで改革なんて手に付く訳がないとは思うのですけれど。
でも、その前のジャラムポン社長は、3年弱。
その前の社長も1年2カ月間の任期。
さらに先代とスメート社長との間には1年半の社長不在時期があり、先代と先々代の間にも1年間の社長不在時期があったりなんかするので、今回、仮に申請が進むと、どうなるのやら。
タイ国際航空以外も赤字体質
さて、タイ政府は、今回の資金援助の条件に掲げていたのは、経営改革の実行と従業員の協力であり、経営再建のラストチャンスと公言していた。
正式な内容は明らかにされていないのですが、労働組合側の声明は、会社の分割・民営化に反対と言うモノだったので、同様の内容だったのでしょう。
2019年末の負債総額が約2,450億バーツ。
そりゃ、もうどうにもならなんだろう…と言う気はしますね。
ただタイの航空業界は、タイ国際航空以外も、日頃から赤字体質が根強い。
LCCのノックエアラインズは、2019年の最終損益が29.7億バーツの赤字。
ノックスクートの2019年営業損益が13.5億バーツの赤字。
タイエアアジアも、2019年は8.7億バーツの赤字転落。
これに今年はコロナウイルスの影響が加わる訳で、かなり厳しい状態なのは、素人目で見ても分かります。
経済も順調に成長している。
観光客も世界で見てもトップクラスの多さ。
それなのに、航空業界は赤字のオンパレード。
過当競争がどれだけなのか…を物語りますね。
そりゃ、消費者としては、有り難いところですけれど。
タイは若いうちに行け
タイ国際航空。
アラフォーとしては、いしだ壱成が出演していた“タイは若いうちに行け”のキャッチコピーのCMが懐かしいなぁ…と。
途中で、長瀬さんに変わりますけれど(さらに最後はグダグダ感がありますけれど)。
でも、このCMシリーズの初期の頃のヤツは、今、見ても、タイ国際航空の機体デザイン以外は通じますね。
ホントにこのCM、好きだったなぁ…
でも、すっかりおっさんになった今なら言えます。
“タイはおっさんになっても、行け。”
それだけは間違いない。
タイ国際航空も、経営再建が着実に行われたら、またこのシリーズでCMや広告、やってくれないかなぁ…
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