アフガンで支援活動を行ってきた中村哲さんが死亡!

アフガンで支援活動を行ってきた中村氏が襲撃・死亡!

長年に渡って、アフガニスタンで支援活動に携わって来た日本人医師の中村哲氏が、2019年12月4日、アフガニスタン東部に位置するナンガルハル州ジャララバードで、襲撃に遭い、お亡くなりになったとのコト。

また中村氏に同行していたアフガニスタン人の5人の護衛も、死亡した。

中村氏は、国際社会がアフガニスタンに注目する以前から、戦乱・干ばつ・貧困に喘ぐアフガニスタンで、30年に渡って活動を行って来ている国際NGO団体の「ペシャワール会(Peshawar Kai)」の代表で、源氏の事業体であるピース・ジャパン・メディカル・サービス(PMS)の総院長も務めていた。

ペシャワール会とは?

「ペシャワール会」は、1984年にパキスタン北西部のペシャワールにて支援活動をスタート。

1991年には、ナンガルハル州に診療所を開設。
さらに1998年に、パキスタンとアフガニスタン両国での活動の恒久的な拠点となる病院をペシャワールに開設し、支援活動を続けていた。

2000年にアフガニスタンを大干ばつが襲って以降は、赤痢の患者が急増し、清潔な飲料水の確保にも取り組み始め、自給自足が出来る農村の回復を目指して農業・灌漑事業にも取り組んでおり、2010年には全長25.5kmにも及ぶ用水路を完成させ、荒廃地を農地へと変貌させていた。

またアメリカ軍がアフガニスタンを空爆した際には、「アフガンいのちの基金」を設立し、2002年2月までに15万人の難民に緊急食糧配給を実施していた。

ペシャワール会

PMSはピースジャパンメディカルサービス(平和医療団日本)総院長中村哲医師率いる現地事業体(診療所・農業・灌漑・PMS方式取水技術の普及活動)です。ペシャワール会は中村哲医師のパキスタン・アフガニスタンでの医療活動を支援する国際NGO(NPO)団体、支援者の寄付のみで運営されています。思想・宗教・国籍などを問わずどなたでもご入会頂けます

今回は、12月4日に、アフガニスタン東部で進めている灌漑工事の現場に入る為に、車を連ねて宿舎から車で向かう途中、パキスタンのペシャワールと、アフガニスタンの首都・カブールとの中間地点に位置している都市のジャララバード市内で何者かに銃撃されたとのコト。

2008年8月には、ジャララバード近郊で日本人男性スタッフの伊藤さんが殺害される事件があった為、今回も、しっかりと護衛を付け、毎回、ルートを変えて移動をしていたと言う。
なお、この時は、タリバンによる拉致・殺害であり、「NGOが住民の役に立っていたコトは知っている。だが、住民に西洋文化を植え付けようとするスパイだ」とする犯行声明が出された。

アフガニスタン市民証を授与された矢先

ナンガルハル州のクナール川周辺で、用水路を建設し、緑化活動も行い、約16,500ヘクタールもの広大な土地を潤すなど、長年の支援活動が評価され、アフガニスタンのガニ大統領から、日本人への授与は極めて異例となるビザが免除になるアフガニスタン市民証を、授与されたばかりで、その際も大統領からは、「最大の英雄」「最も勇敢な男」と称えられていたし、今後は、アフガニスタンに土地や会社が所有出来るようになるコトで、より踏み込んだ活動が期待されていた矢先(その他に、2018年には、アフガニスタン政府から国家勲章も授与されている)。

戦乱の続く最中、難民の診療体制を整え、食料支援や復興・帰還難民の生活支援など、医師による医療支援の枠を遥かに超えた幅広い支援活動を行っていた中村氏。

年間の2/3は現地に赴き、自ら現場監督として作業員を指揮し、あくまでも現場の先頭に立って支援活動を続けて来た中村氏。

今の所、犯行声明を出した組織もなく、誰が犯人なのかは分かっていない。
それどころか、アフガニスタンの旧支配勢力であり、2008年にはスタッフの拉致・殺害に対して犯行声明を出していたタリバンも、「アフガニスタンの再建に貢献した」組織として「ペシャワール会」を見ていて、良い関係を保っているとして、今回の中村氏の殺害への関与を否定しているぐらいである。

戦乱の最中であれば、“敵”か“味方”かの2つに分かれるコトがほとんどと言う中で、タリバンからも一目を置かれている活動を行っていた中村氏。

こうした負の連鎖の根の深さ。
それをどうしても感じずにはいられない。

そして、アフガニスタンへアメリカが関与を始めて、かなりの年月が過ぎた。
年月が流れたが故に、国際社会の関心や関与が、どんどん薄くなっているのも事実。

だけれども、アフガニスタンの情勢は、混沌としたままだと言うのを、改めて肝に銘じなければならないし、もっと国際社会が関心を寄せて行くべきなのだとも。

1人1人が出来るコト。
それはまだまだ小さな話なのだろう。
中村氏の様に、高い志と強い信念を持つと言うのも、なかなか出来る話ではないかも知れない。

でも、まずは関心を持つコト。

まずは、そこから。
アフガニスタンも変わらないといけないけれど、国際社会が無関心・非寛容からも変わって行かないと、世界は変わって行かない話なのだと。

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