大韓航空は、大幅減収だけれど、黒字確保
韓国航空各社の2019年7~9月期の決算が出揃いました。
この7~9月期と言うのは、1年間でも最大の繁忙期に当たるのは、日本の航空各社と同じ構造を持っている訳ですが、日本路線の需要が減少した結果、全社揃って、不振を免れるコトが出来なかったと思える内容に。
まず韓国航空業界・最大手の大韓航空。
営業利益が1,179億ウォン(約110億円)。
昨年度は3,928億ウォンだったので、70%の減少。
売上高は3兆2,830億ウォン(前年度3兆4,097億ウォン)。
大幅に減益になっていますが、さすがに損益ベースでは黒字を確保しているのは、スゴイと思う。
大韓航空のライバルであり、業界2位のアシアナ航空は570億ウォンの赤字に転落(前年度971億ウォンの黒字)し、売上高も1兆8,351億ウォンに減少(前年度1兆9,687億ウォン)。
売上高が1,300億ウォン程度減った分、赤字に陥った感じでしょうか。
この辺りは、業界2位ではあるモノの、売上高がそもそも首位の大韓航空とは離されていると言う所が、響いているのかな…と言う感じがしなくもないですね。
LCC各社の決算は、軒並み赤字
LCC各社の決算も同様に厳しい状態。
まずLCC最大手のチェジュ航空は、売上高こそ5.3%増と健闘しているのですが、174億ウォンの営業損失を計上。
前年度は378億ウォンの黒字で、2019年度4~6月期に20四半期ぶりの赤字転落になった流れを、最繁忙期でも止めるコトが出来なかった形になりました。
ティーウェイ航空も、103億ウォンの営業損失計上。
アシアナ航空系のエアプサンに至っては、LCC最大手のチェジュ航空を超える赤字幅である195億ウォンの営業損失を計上する事態になっています。
また、同じくアシアナ航空系のエアソウルは、実績こそ公開されていないのですが、赤字を記録したとの報道。
日本の航空業界と同じですが、韓国の航空業界も、夏休みの需要増加に加え、9月の中秋節があるなど、例年、7~9月期の決算や搭乗実績は、その前の期である4~6月期に比べると、成績が向上するケースが多い訳ですが、それでも今年は回復出来ないと言う状態に陥るコトに。
理由は反日だけじゃない
軒並み赤字決算に陥り、減収になっているのには、複合的な理由があるのは確か。
まず世界的な景気低迷や、米中間での貿易紛争のあおりを受けて、貨物取扱量が、大韓航空で11.2%も減少していると言うのは、やっぱり大きい。
さらに、韓国だけの理由で言えば、最低賃金の引き上げがあり、コストも前年に比べると、上昇していると言う状態。
そして日韓の関係悪化を受けて、訪日する韓国人観光客が激減しており、9月で見ると、前年度比の-58%と言う大幅な落ち込みを見せたコトは、近距離路線をメインに路線展開を行っているLCC各社には、大きな打撃になった感じ。
さらに、デモが続く香港への旅行客も減少している状態だし、中国は新規の路線開設を渋っているので、LCC各社的に、日本に代わる逃げ場がない状態。
それだけでは終わらず、そこにボーイング737NGの胴体亀裂により、大韓航空・ジンエアー・チェジュ航空などは、運航支障まで重なると言う悪夢。
そして、何よりも、ウォン安による燃料費負担増…
これだけ色々と重なっているのに、黒字化する訳もないと言う気にはなる。
そして何よりも、供給過多と言う韓国特有の事情もある。
如何せん、航空会社の数が多すぎる。
しかも、まだ新しく認可された航空会社が控えているのだから、今後も、より競争に拍車が掛かる状態が予想される訳で、もうこうした中で、よく操業出来ているな…と言いたくなるぐらい。
アシアナ航空は、HDC現代産業開発が買収見通しだが…
こうした中で売りに出されたアシアナ航空は、韓国建設大手のHDC現代産業開発が、2,000億円強で買収する見通しになりました。
が、アシアナ航空がどこまで正常化するのかどうかは、まだまだ予断を許さない状態なのは、間違いなさそう。
そもそもまだアシアナ航空は、赤字を止血出来ないでいる状態。
アシアナ航空は、子会社にLCCのエアプサンやエアソウルを抱えている業界2位の航空会社だけに、これからまだ波乱がありそうな予感すらしますね。
それにしても…
ほぼ国内線がないに等しい韓国の航空業界。
それなのに、日本よりも競争が激しい環境。
だからどんどん海外への路線が広がる訳ですが、国内線網がしっかりとあり、あまり路線展開に積極的じゃない日本からすれば、ちょっと羨ましさすら感じてしまいますけれどもね。
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