訪日韓国人、9月は58%の減少!
観光庁が毎月発表している「訪日外客統計」の2019年9月推計値が発表になりました(以下の数値は『日本政府観光局(JNTO)訪日外客数2019年9月推計値』から)。
これによると9月の訪日外国人客の総数は、227万2,900人。
前年は215万9,595人だったので、伸び率にして5.2%の増加だそうで。
8月は約2.2%の減少だったので、2か月ぶりに前年度比でプラスに転じたコトになります。
ただ8月で48.0%の減少だった韓国人の訪日人数は、9月はさらに手控えが鮮明になっていて、前年47万9,733人だったのが、20万1,200人と、何と58.1%の減少。
半減以下と言うインパクトは、こうした毎月取られている統計としては、なかなか見られる数値じゃないので、結構、衝撃的ですね。
まぁ、あれだけ派手に関係が悪化していたら、さすがに手控えも起きますよね。
しかも、航空会社も運休・減便を多発していますから。
これがいつになったら下げ止まるのか。
いや、そもそも下げ止まるコトがあるのか。
ふと、そんな気にはなりますが。
ラグビーの影響は、どれだけあったのか?
それでも総数でプラスに転じたのは、やっぱりラグビー・ワールドカップの影響でしょうか。
出場国で見てみると、こんな感じ。
国名 | 2018年9月入国者数 | 2019年9月入国者数 | 増減率 |
イギリス | 26,904 | 49,600 | 84.4% |
フランス | 20,143 | 26,500 | 31.6% |
アイルランド | 1,775 | 9,200 | 418.3% |
イタリア | 12,273 | 13,400 | 9.2% |
ロシア | 7,555 | 10,500 | 39.0% |
アメリカ | 104,637 | 127,200 | 21.6% |
カナダ | 23,100 | 28,500 | 23.4% |
オーストラリア | 48,617 | 60,500 | 24.4% |
ニュージーランド | 6,975 | 11,300 | 62.0% |
フィジー | 123 | 400 | 225.2% |
サモア | 19 | 100 | 426.3% |
トンガ | 31 | 100 | 222.6% |
南アフリカ | 833 | 4,200 | 404.2% |
ナミビア | 14 | 100 | 614.3% |
アルゼンチン | 1,650 | 4,800 | 190.9% |
ウルグアイ | 133 | 300 | 125.6% |
ジョージア | 77 | 500 | 549.4% |
ってか、元々の訪日者数が少ない国も多いので、とんでもなく増えていますね(因みに、この数字はまだ推定値なので、ビジネス需要や、ラグビー関係者なども含まれており、純粋な観光客数ではないのが注意点です)。
ナミビアの前年度比614.3%って(でも、去年の9月に14人も訪日していたコトにすら驚きますけれど)!
訪日客が比較的多いアメリカだって21%の増。
アルゼンチンとかも190%の増なのだが、経済が疲弊している中で、やっぱり日本まで来れる人は、そんなコトは関係なく、来れるんだな…と、改めて思ったりしますが、それでも韓国は、元々の訪日客数が多いので、さすがに減少分を補うまでには至らない感じ。
逆に、総数で伸びたのは、ラグビー・ワールドカップの影響もありますが、それよりも、韓国より訪日客数の多い中国が25%も伸びていると言う所でしょうね。
まぁ、去年の今ごろは、関空が水没したりしていたので、その反動も大きいのかも知れませんが(中国路線の多い関空が、しばらく使えなかったので)。
中国は2019年1月からの総数で見ても14.8%ばかり伸びていますからね。
エリア別の内訳としては、こんな感じ。
エリア | 2018年9月 | 2019年9月 |
東アジア | 73.5% | 68.3% |
東南アジア+インド | 9.1% | 10.4% |
欧米+オーストラリア | 12.7% | 15.4% |
訪日韓国人が減った分、東アジアが減少している感じですね。
総数が伸びたコトで、訪日韓国人の減少と言うのは、大枠で見ると影響は限定的に見えなくもない。
九州みたいに(特に対馬とか)韓国からの観光客比率が高い所は別として。
ただやっぱり韓国の人は、何度となく日本に来ている人が多いと思われ、地方にも訪れる人が多いのが特徴なので、今の状態が続くのは宜しくないのでしょうが。
人数だけを追い求める時期でも無くなった様な気がする
でも、これからの日本の観光産業としては、バランスをどう取るのか…と言うコトだと思う。
既に一部のエリアでは、観光客が多く押し掛け、在住の方々に迷惑が掛かるレベルである“オーバーツーリズム”と言う状態になりつつあると言われている。
主だった観光地ばかりでなく、地方などにも足を伸ばす観光客を(つまりリピーター)、どれだけ増やせるのか。
人数ばかりではなく、消費が高く、滞在の長い観光客を、どう伸ばすのか。
そんな所。
韓国の方々は、地方にまで足を伸ばしてくれていた(寧ろ、地方の空港から入国して、地方から出国すると言うパターンすら有り得た)。
だけれども、比較的、単価は安く、滞在も短い(だからこそ日本が選ばれていたのだろうけれど)。
中国の方々は、“爆買い”と言うコトバに象徴される様に、消費は激しいが、まだまだ個人旅行への転換が遅れている感があり、ツアーで訪日すると、中国資本に囲われているコトが比較的、多い。
ヨーロッパの方々は、比較的、長く滞在してくれるが、そもそもの総数は多くない。
日本はとりあえず、観光客の数を求める計画を立てているけれども、そろそろそうではなく、どれだけ長く、そして、どれだけ消費をしてくれて、そして地方にも足を伸ばしてくれるか。
そう言う視点でマーケットを捉えて行っても良い時期なのでは?なんて思ったり。
例えば、ボク個人としては、世間から見れば“バックパッカー”なのだと思う(本人はあまりその意識はないけれど、バックパックを背負って旅しているので、そうなのだろう)。
バックパッカーと言うと、確かに消費は乏しく見える。
安宿に泊まり、高級なレストランではなく、安食堂で食事を済ませ、移動手段も出来るだけ安く…と言うのが、その旅行スタイルだから。
ただ実際の所、日数に対する単価が安いだけで、パックツアーなどに比べると、比較的長く滞在するコトが多いので、全体として落とす経済効果は、実は侮れない様にも思う。
観光名所だけでなく、ちょっとした地方の穴場スポットにも足を伸ばす人が多いので、地方への効果も低くはないし。
一時期、クルーズ船を呼び込もうとした動きがあったけれども、港に来て、ほんの少ししか滞在しないクルーズ船よりは、全然、経済効果も高いと思うのだけれど…ね。
数字が上がっただの下がっただのは、確かに大事。
だけれども、オーバーツーリズムを避ける為にも、“分散”“単価”“滞在日数”なんかを考えたプロモーションがあっても良いんじゃなかろうか…と思った統計だったり。
でも、そろそろ日韓の関係改善の糸口が出て来ても良さそうなのになぁ…
少なくとも、政治が冷却していても、民間での交流の妨げにならない関係であるべきで(どちらが悪いとか、そう言う話ではなくて、デス、あくまでも)。
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