国管理空港、23空港で航空系事業は赤字

合計では4年連続の黒字を確保したが…

国土交通省が、2017年度の空港別収支(試算結果)を発表しました。

現在、国が管理している空港は26カ所。

営業利益は、航空系事業と非航空系事業合わせて、約261億円の黒字で前年度比82億円の増加(45.8%増)。
経常利益も、航空系事業と非航空系事業合わせて、約811億円の黒字でこちらは前年度比で約122億円の増(17.7%)。

黒字の空港は前年度は16ヶ所でしたが、2017年度は18カ所に増え、逆に赤字の空港は7に減少し(稚内・釧路・函館・新潟・丘珠・三沢・岩国の各空港)、トータルでは4年連続の黒字を確保した模様です。

ただ全体的に収益は伸びていると言っても、航空系事業の営業損益だけで見ると、黒字だった空港は、羽田・新千歳・小松の3ヶ所のみだったりするので、手放しで喜ばしいかと言われると、微妙な部分が残るのが現実の様にも思えます。

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主要4空港の空港別収支は…

乗降者数が年間で1,000万人を超えている4空港の数値を見てみると、以下の通りになっていました。

空港名航空系事業非航空系事業合計
営業損益営業損益営業損益経常損益EBITDA
羽田89億1,900万267億6,900万257億8,700万509億6,800万983億3,300万
新千歳13億100万50億4,400万63億4,500万90億2,900万152億3,100万
福岡▲65億5,200万33億900万▲32億4,300万34億6,500万31億4,100万
那覇▲63億5,500万47億4,700万▲16億800万198億6,300万21億6,400万

最大の黒字を出しているのは、やっぱり羽田で、営業収益の762億5,900万円は、前年度比で58億5,500万円の増。営業損益もD滑走路建設に伴う借入金利息・減価償却・耐震工事などの整備費用の増加が目立つモノの、国際線の就航増加で、41億7,000万円の増加で89億1,900万円の黒字で着陸。

民間への土地へ支払う土地建物借料が81億1,200万円と大きい福岡空港は、65億5,200万円と最大の赤字を出す結果に。
営業収益は122億7,400万円で、前年度比で2億9,900万円の増加になっているが、営業損益は全空港の中で最大規模のまま。

福岡空港に次いで大きな損益になっているのは、那覇空港。
ただこちらも前年度比で7億9,400万円の改善を見せているが、航空系事業の営業損益は、63億5,500万円の赤字。
これは、滑走路増設事業費が収益を圧迫している関係で、要因としては一時的なモノと考えられるので、福岡空港の様な構造的な赤字と言う訳ではないけれども、2020年3月の供用開始まで、しばらくの間は、増設事業による収益の圧迫が続くモノかと。

それにしても…

新千歳空港の黒字額。

小さすぎやしないか…と思ってしまったのは、ボクだけでしょうかね。

国内線も羽田を中心にバンバン飛んでいるし、国際線もターミナルが手狭になるぐらいに就航が相次いでいると言うのに(その対策で費用が増えているのかな?)…



羽田の黒字が頼みの構造

空港と言う半ば独占的な事業ですが、なかなか黒字化するのは難しいのだな…と、改めて。

航空系事業だけのEBITDA(収支)で見ると、黒字が取れているのは、羽田・新千歳・小松・鹿児島・徳島のみ。

それ以外は赤字。
この内、小松と徳島は自衛隊との共用空港なので、旅客単体の飛行場だと、羽田・新千歳・鹿児島の3空港のみになると言う体たらく。

他は、非航空系事業を入れて何とか黒字にすると言う形。

それが当たり前と言えば当たり前なのでしょうが、そもそもEBITDAを見ると、収支が黒字と言っても、大した額にはなっていなくて、羽田の大きな黒字+新千歳の黒字にその他の空港を補っている様な、そんな構造が見えたりする。

これだけ訪日外国人観光客が増え、地方空港へも国際線の飛来が相次いでいるのに、やっぱり羽田頼りの日本の空港事情。

まぁ、確かに羽田は便利ですし、背景に首都圏を抱えているのだから、当たり前なんでしょうが。

少なくとも、そろそろ福岡空港が抱える構造的な赤字は、どうにかした方がいいのでは…とすら思えてしまいますが、市街地に近い福岡空港は、他に代えがたい立地条件ですし、地主側からしても、空港が土地を借りてくれると言うのは、長期的に美味しい話ですから、この先も解消出来ない話なんでしょうね。

人口が大きく減少する時代に入って来ている日本。

いつまで地方空港の赤字を垂れ流す構造が続けられるのだろう…と。

まぁ、地方空港が赤字で悩んでいると言うのは、日本だけの話じゃないんでしょうが、実際の所。

【関連リンク】

空港別収支の試算結果について<平成29年度>(国土交通省・PDF)

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