『世界ボンクラ2人旅!タイ・ベトナム前半戦』

旅とマンガとコミックエッセイ

旅を漫画化した作品と言うのは、実は案外、多くはないように思う。

旅する人は多いし、日本にはマンガ文化も根強く残っている訳だから、もっと多くてもおかしくはない気がするし、それなりにストーリーになるような気がするのに、そんなに多くない。

それは結局、背景を描いたりするのも面倒だったり、あくまでも主人公が“私”になるので、ストーリーへの感情移入にはかなりの技量が必要だからなのかも知れない。

だけれども、その代わりに、コミックエッセイと言う分野の作品には、案外、旅にまつわるモノが多い。
純粋な旅ではなくても、何処か海外と繋がりがある様な作品が多いのは(例えば、国際結婚の作品とか)、絵で描き切れない部分を、コトバで表現出来るからなのか、それとも“私”が主人公でも成り立つからなのか…

どちらにせよ、旅とコミックエッセイは相性がいいのだろう。

その旅とコミックエッセイの代表的な作品が、

30日間で世界一周をしてしまうと言う企画自体が凄い気がするが、それにも懲りずに(?)、35日間で世界一周をしてしまおう!と言う続編が出てしまう。

35日…
5日間、多くなっただけ。

バタバタドタバタの世界一周を綴ったコミックエッセイで、読みやすく面白い作品に仕上がっているのだが、その著者がタイとベトナムに旅立った。

世界一周の時は2回共、3人旅だったけれど、今回は(事実婚の)夫婦旅。

バタバタも安定的な2人の旅

iPhoneを初っ端からスラれたり、そもそも日本に忘れ物をしたり、タクシーでボラれたり…

ホントに世界一周を2回もしているのだろうか…?と突っ込みたくなる旅の立ち上がりですが、そのバタバタ加減も、コトバだけではなくて、絵にすると読みやすくなるのが、コミックエッセイの良い所。
これが活字だけだと、多分、笑えない重たいだけの話になってしまうのに、絵が加わるコトで、何処か笑える話になるのが不思議な所。

相変わらずだなぁ…と思えるけれども、正直な所、何か新展開があっても良かったかなぁ…とも思う。
旅のコミックエッセイだから、終始、バタバタしている感じはあるけれど(著者の作風なだけかも知れませんが)、前作の世界一周シリーズと、あまり変わりがナイ気もする。

寧ろ、夫婦旅じゃなくて、1人旅とかの方が、著者の作品を既に何作か読んでいる人にとっては、面白みがあったのかもなぁ…とすら。

そして、写真も結構使われているのだけれども、粗い。

折角の海外の写真。
もうちょっと何とかならないのかな…と言うのが、正直な所。

コマが小さい所のは読めるし見れるのだけれども、粗いのにさらにピンを甘くしている感じがあるので、余計に見るに堪えないレベルになってしまっていて、これならば使わない方が良いのでは…とも。

写真なんて、別に他のガイドブックがある訳で、不要と言えば不要ですしね。

そして何よりも、全2巻にまとまる予定の作品ですが、そもそも2巻に分ける程の内容があるのだろうか…と言う点。

バタバタした旅なので、それなりに展開はあるのだけれども、コマを小さくして、展開を早くして1巻にまとめた方が、ギュッと作品的には引き締まるのでは…と言う気がしてならない。

別に話が間延びしている訳ではないのだけれども、特段、変わった展開もなく、バタバタとしているだけ。
しかも、そのバタバタも単に、本人たちの不注意なだけで、別にタイやベトナムに起因している訳ではないので、余計に、2巻に分ける意味がなさそう。

世界一周のシリーズも、確かに30日程度の話にしては、巻数が多いのだけれども、国が変われば展開もめまぐるしいので、テンポよく読めたのですが…

相変わらずのゆるふわっとした旅。

それがコミックには似合っていて、折角の作品なのに、ちょっともったいない感じも。
まぁ、前の世界一周シリーズで著者を知った方々向けの作品で、あくまでも裏切らないを前提にしたのかも知れませんけれどね。

ただ目新しさはないけれども、惹きこんでいくのは、さすがだなぁ…とも。

箸休め的に何か気軽に読みたいって時に、結構、おススメかも。

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