昨日の記事では今日からハンガリー編~と書きましたけれども、明日から10月と言うコトで、キリがいいので、明日からにします~♪
さて、スペインのバルセロナ。
観光客が溢れるこの街は、スペインの中では北西部に当たり、カタルーニャ州の中に位置している街であり、州の中心的な存在の街である。
そのバルセロナが位置するカタルーニャ州で独立を問う住民投票が、現地時間の2017年10月1日行われようとしている。
実際には、これが何度目だろう…と言う住民投票でもあるけれど、投票の数週間前に当たる時点から、少しずつ街が投票に向けて動いていた感じがあった。
街の至る所に、それらしいスローガンが書かれた旗や落書きが描かれ、家のベランダにはカタルーニャの州の旗がなびいていたコトからも、それは明らかだった。
カタルーニャの独立運動、近年の歴史
そもそも、ここ数年来、ずっとカタルーニャ州の独立運動と言うのは、盛り上がりを見せている。
・2012年…
“カタルーニャ、新しいヨーロッパ国家”をスローガンとする100~200万人が参加したデモ
・2013年…
カタルーニャ州議会が“カタルーニャ人の主権と自己決定権に関する宣言”を賛成多数で承認
160万人近くが参加したデモ“カタルーニャ独立への道”が実施
・2014年…
50~150万人が参加したデモ“カタルーニャの道2014”が実施
240万人が投票したカタルーニャ独立住民投票で独立賛成が大多数を占める(但し、得票率は35%前後)
・2015年…
カタルーニャ州議会選挙で独立支持派が過半数を制す
州議会が“カタルーニャ独立手続き開始宣言”を採択
それらの流れを受けて、3年ぶりになるのが今回の住民投票である。
もちろん、これらの流れのほぼ全てをスペインの中央政府は認めていないし、スペインの憲法裁判所は2006年に制定した自治憲章も違憲だと言う判断をしている。
今回の住民投票も中央政府の意向を受け、投票所として使用されるとみられている建物を投票日前に封鎖し、約1,000万枚に及ぶ投票用紙も押収し、住民投票についての情報をアップしていたWebも相当数が閉鎖された。
力づくでも住民投票を行わせないと言う意思の表れであるのは明らかで、住民投票の投票率云々よりも、投票自体が行われるのか(行えるのか)と言うレベルになっているのが現状である。
また、いざ住民投票がなされ、それなりの投票率があり、独立賛成が多数を占めたとしても(因みに、州議会選挙は独立支持政党が過半数を制しているが、世論調査では独立支持が過半数を超えたコトはない)、中央政府はそれらをもちろんだが今回も、違憲とするだろう。
欧州近隣諸国も独立を認める国は、基本的にはなさそうで、中央政府と共同歩調を取ると見られている。
民主主義と国のカタチって何なんだ
投票すらさせようとしない。
投票結果も認めようとしない。
でも、民主主義国家。
民主主義とは、いったい、何なのだろう。
ふと、そう思えてくる。
自由な議論が行われ、その後は、選挙が結果を左右する。
もしくは、公平な選挙で選ばれた人により政治が行われ、それによって国や地方の在り方が決まって行く。
それが民主主義国家の在り方なんじゃないのか。
でも、そう言えば、先日のイラクのクルド人自治区における独立への住民投票も賛成多数を占めたけれど、コチラもイラク政府が認める訳はなく、国内にクルド人を抱えるトルコやイランも、住民投票の結果を認める訳がない。
全てが全て、認めてしまえば、多くの国は成り立たなくなるのは、事実で、それは、イランやトルコだけじゃなく、イギリスだって中国だってロシアだって混乱を招く訳だし、自国の影響力が小さくなるコトは、基本的に、中央政府がすんなりと認める訳がナイだろう。
でも、その中の何処に落としどころがあるのかを探るのは、政治の役割。
そして、カタルーニャが独立をすれば、色々な不具合が起こりえるのも、また事実。
現在は確かにスペインの中では経済が発展している方の州ではあるが、あくまでもEU加盟国のスペインの一部だからで、これが独立してしまうとEUからの補助金もなくなるわ、海外からの投資も減るわ、現在、スペイン国内で売られていたカタルーニャ発の製品も売れなくなるわ…と言うのは、容易に予想出来る。
もちろん、経済を取るのか、独立や自らのアイデンティティを取るのか…と言う話ではあるけれども。
カタルーニャの自治制度すら見直しを示唆する中央政府と、あくまでも独立一辺倒になり始めている州政府。
この紐を解くのは、何処にあるのやら。
2017年10月1日。
果たして、住民投票は行われるのか。
果たして、投票が行われた時の得票率は、如何程なのか。
次にバルセロナに訪れるコトがあったら、その時は、ココはスペインなのだろうか。
それとも、まだスペインなのだろうか。
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