地平線は旅のお友達
車が西サハラに入る。 特段、何かが変わったと言う感じはない。 ただ道はちょっと良くなったかな…と言う気もしなくもないけれど、モーリタニアの道も別に悪路だった訳じゃないので、そこまで実感するコトはなく、車は淡々と北上を続ける。
ただ淡々と。
…って、全然、景色に変化がない。
別に、何かがある訳じゃない。
そんな道がただひたすらと続いている。
町がある訳でもなければ、村がある訳でもナイ。
ずっと何もない大地だけが続いている。
仕方がないと言えば、仕方がない。
不毛な大地な訳だし、そもそもここはモロッコとモーリタニアの係争地域でもある訳だし。
ただひたすら地平線。
ホントにずっと地平線。
日本にいると地平線なんて基本的に見るコトがないけれど、ココでは地平線だけが全て。
そして昼食がてら、1つのスポットで車が止まった。
ホテルみたいで、中に入ってみると… モーリタニアにはない作りと言うか…
そもそもWiFiの表記あるし。
さっきまでの不毛な大地が信じられない位に快適な空間になっていてびっくり。
陸路で国境を越えても、そう簡単に雰囲気とか文化とかが変わる訳ではナイ。 ゆっくり、ゆっくりと変わって行くモノだけれども、経済の格差はどうしようもナイし、取り繕えない部分。 それを一気に感じてしまう。
そして、ドライバーから1つの提案。
このままダックラじゃなくて、ライユーンとかマラケシュまで行かないか?と。
何ならカサブランカまで車は行くから…と。
うぬっ。
ちょっとした半島のダックラまで行くと余計な時間も掛かるし、ライユーンなら今日中に到着出来るとのコトで、ついOKしてしまった。
だって… 車、かなり快適ですから。
ひとまずライユーンまで。
西サハラを一気に北上
と言うコトで、ホントは1泊するつもりのダックラをすっ飛ばして、またひたすら地平線だけがゆったりと流れる空間へ。
やがて日が傾き始め、次第に暗がりが広がり始める。
ゆっくりとゆっくりと時間を掛けて、でも着実に空の色が変わっていく。
そんな時間すら感じる余裕があるけれども、それでもひたすら地平線が広がる風景は変わらないままで、そのまま暗がりになって行く。
辺りが真っ暗になる。
それでも車は走る。
路肩があまりしっかりとナイからなのか、それとも車の速度が速いからか(乗用車だと120キロ運転)、対向車とすれ違うのがちょっと怖い。
西サハラの拠点、ライユーン到着
23時30分。
ライユーン到着。
この時間でもカフェはやっているし、飲食店もやっていて、どうも賑わっている感がある。
人もそれなりに出歩いているし、モーリタニアではほとんど見なかった電光の広告とかもあったりして、それまでのただ地平線の大地が信じられない位に、“街”だった。
さすが、ライユーンだなぁ…なんて思う。
そのまま1泊…と思ったら、ちょうどCTM(モロッコの国営バス)が23時30分にアガディール行きがあるとのコトで、チケットを購入してそのままアガディールへ。
何だかずっと移動の1日になっちゃったな…なんて思いつつ、CTMのバスは新しい車だったし、荷物もしっかり荷物札が発券されるし、ヨーロッパみたいな感じに一気に切り替わった気になる。
んで、車が走り出したと共に爆睡。
気が付いたらアガディールに到着する寸前だった。
ん?
そうか…
てっきりパスポートコントロールがあるかと思っていたのだけれども、モロッコの実効支配なんだし、地続きだから何もないのか…
そこで初めて、“実効支配”と言う意味を知った気がします。
モロッコから見れば、“西サハラ”と呼ばれている地域なんてモノはなくて、あくまでも“モロッコ”な訳ですよね。
因みに、自家用車だとパスポートチェックは何度となく西サハラ領内だとあったのに(その時にシートベルトをしていないとダメみたい)、CTMに乗ると一切、そう言うのがナイ。
何か、ザルだなぁ…と。
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